あたしは、言ってやったんです。
床に落ちたものなんか拾って食べるのは、子どもの前ではやめてくれって。
もともと品がないのは、あたしも同じだけど。昔はそんなあの人の素振りを、可笑しくって笑っていたかもしれません。
最近は、特にあたしを見る目つきっていうんですか、蔑んでいるっていうか、何も見ていないっていうか、あの人の目玉に、あたしは映っていないようで。そりゃ五月蝿く言いますよ。靴下は脱いだままにしないでしてくれとか、お酒はそのへんでやめときなさいとか。あたしの財布から黙ってお金を盗るのはやめてくださいって。
家に人を連れてくる時は、人が変わったようによそよそしい。
子どもは可愛がっていました。でもいつだったか、自分で産んでいたら可愛さも違うだろうなとか言ってました。父親としての自覚なんかないんです。
頼りにはしていました。だめな人でも、家族3人で暮らしていければいい。他は望まない。
理由なんかありません。こうした日々を過ごしていて、風邪をひいみたいなものです。仕方がなかったとしか、今は言えません。