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16-18

16-18

 放棄しては眺め、時折近寄って触れる、アナログを手探りでリハビリする時間の経過は、退行とも思われる画面がみえてくるが、そんなことはどうでもよかった。喪失していたあれこれを時には懐かしく、時には今の今になって腑に落とす。リンシードを混入させた乾燥遅延の混合オイルの彩りに戯れつつ、気づけば2年以上過ぎている。個人的な取り組みであることが知覚的に都度強調される行為の促すことは、同時に運筆の固有な根拠であ […]
一期積層「同田貫」

一期積層「同田貫」

 重ねる度の節度があり、その節操は次の重なりを呼び込みながら、重層的に太くなるような律を生む。勿論振り返るように戻って抑制の幅を整理し直すことも可能だが、雨降りの水滴を想って止める。  同田貫をこの層におもう。 ー同田貫(どうだぬき)は九州肥後国菊池の同田貫(地名)を本拠地に、永禄頃から活躍した肥後刀工の一群。延寿派の末流とされる。銘を九州肥後同田貫、肥後州同田貫、肥後国菊池住同田貫などと切り、ま […]
「地」「炭素」「俯瞰」ー枝脈

「地」「炭素」「俯瞰」ー枝脈

 白い季節の中巡らせた仕組みの具体化をまず率先してその行方を確かめる必要があり、奔放な緩さも許して進めると、自らに跳ね返る数々がある。記憶の陽炎とも云える断片的な痕跡が、各々傾向に別れた物語を形作るようであり、今更に固有な自己を言及しているような表象となって顕われる。近視眼的な掌のスケールでの意識の投影は、併行して行っている別スケール、別次元展開にも影響を与え、尺度の強弱の混在へ向うことになる。 […]
薪割組と炭素石

薪割組と炭素石

 四年前の秋に制作した、薪を割って再構成するインスタレーションオブジェの創作の手元を、柔らかい筆にたぐり寄せ、同じことだなとひとりごちる。いずれも繰り返されることで達する円熟、見極めの足りなさがあって、だからといって伸う伸うとそれを許す暮らしが無いと言えばそれまでだ。ただ時間を置いて、同じ取り組みをする時、幾度も繰り返さなかったにも関わらず、ふっと達者な目付きは生まれる。(生まれてしまう)  幸せ […]
炭素石

炭素石

 目の前の都度の折衝としての想像力が、端的に顕われる粒子の扱いを再考する拠所はふたつみっつある。反復による視座の洗浄(想像力投入の清潔な位置の獲得)の実感はその度にあり、局面(転化)への対応を急がずに、繰り返されることで得ていった深化構造(現状の不足と飛躍)を風呂の中まで持ち込んで、新聞の記事にも意識の辿りが移らなかった。  このところ迂回的な好奇の触手を、自らの出自気質の世知辛さと諦める世代を超 […]
差異予感

差異予感

 携わっている倉庫ギャラリーの新しい取り組みである*「Button Badges Artists Works」の展開を自らどのような具体性があるのか検証していくと、なるほどカンバッジという安価で拙いフォーマット(大きさ・体裁)に、記号的且つ画一的に現れるわけではないことに気づく。  匿名的責任所在不明の同形量産のそれではなく、一点限定の「オリジナル作品」として、作家名を帯びたオブジェクトとしてその […]
帰還ノ季節

帰還ノ季節

 気持ちとは裏腹にゼロから立ち上げるという思春期ではないので、自身の排泄責任、歩みの傾向に従って、泥にまみれた眺めがこちらそのものだ。この汚れもこの春はどこか爽やかな気もするのだからおかしいものだ。  半年の間、率直なベクトルに沿って、あるいは地に足を張る為とはいえ、まるで幽体離脱していたような日々の、浮遊の、離脱の、憑依もできない根無し草の態での精神生活から、魂を軀に引き戻し、自らの血の巡りへ魂 […]
事象折衝

事象折衝

 目的(完成)を放棄する手法として、併置論を置き、三種類の図的な構造を加算することで生成する事象と交渉を試みる。事後的な内省を含みながら交渉の不足に対して持続的な関与を屡々時間を挟んで行う。この視覚のネゴシエーションには経験的な技法が呼び出されるが、言語的な意味での文法がこの折衝に横たわっているわけではないので、初動から半ばまでは、言語的文法を見出すような作業になる。とはいっても文法を確立すること […]
描譚ノ詩形

描譚ノ詩形

ダイヤモンドブラックを迎える傾き Tilt to welcome diamond black / fear of the unsophisticated shape 2017 森と山稜の速度を眺める場所 The site to look at the speed of the forest and the mountain ridge / fear of the unsophisticated s […]
孫瞳ノ芯

孫瞳ノ芯

 娘夫婦が孫を連れて遊びに来た。生後4ヶ月の赤ん坊は7kgになっていて重い。若い夫婦の幸せの絶頂期をお裾分けしていただく。
標高気温

標高気温

 リトルフォレストを再び観て、流石に原作者が気になり、五十嵐大介(1969~)を調べて捲る時間があった。画家を目指した青年が漫画家となって成功した図を俯瞰すると、生真面目な独考の姿が長々と横たわった「オタク」的なこの時代の「雄」の真摯な形のひとつと見受けられる。同時に観ていた「途方に暮れる」状況をそのまま寓話化させたミッドナイトスペシャル(Jeff Nichols 1978~)の、唐突な事実に照応 […]

山椒季譚

 京佃煮わらじやのちりめん山椒をネットで注文し、真冬の白米に乗せては食しあっという間に平らげていた。尖った味覚を舌に残しつつ、庭の幼木に縋った揚羽の羽根文様を浮かべ、あるいはまた、つし王(厨子王)に復讐された大夫父子のくだりを捲り直してみたりしていた。  冷蔵庫に生ものを買い置きする質(たち)ではないので、瓶詰めの香辛料ばかりが並んでいる。スパイスを巡って文明が激烈に移ろったと思えば、胡椒にしろ醤 […]