昨年暮れより今年の夏まで関わった「ウィトゲンシュタイン ペントミノ」45個体を網羅したカタログの編集を終える。個別ライナーノーツと併行した作業であったので、少々手間取った。初動の関わりから、中途の頓挫(平面制作へ移行していた)、夏の再制作まで、手触りも解釈も異なったものになり、同時に鉄への同形変換を浮かべて、慣れない設計図面を書き起こす必要もあり、また、それが物理的には不可能な形態があることも知る。素材的にはほぼ千個を消費したので、万まで時間・作業的な見通しも持つことができた。
 この個体群だけの、小さな空間でのインスタレーションは可能だが、ある程度の規模の空間に対応するには、最低五百は必要と感じる。つまり、素材的には、万ということになる。この調子だとせいぜいがんばって年間百か。すると五年先まで展開は無理ということになる。

 個別ライナーノーツに添って生じた個体別の採寸および構造確認と、タイトル付与を行いつつ、微妙な形態差異が齎す言語的あるいはイメージ拡張を、愉しむような時間があり、これもこの制作の醍醐味のひとつと弁える。