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static

static

 静的事物、静止画像(写真)、静止画(絵画)というものの構築は、動的時間的な日常の流れの一部である人間身体にとっては、構築介入(制作)から離れた途端、なかなか釣り合いのとれない非合理な対象であるが、間主観的に思念を張り巡らす起点となる。つまり人間的な意識の投影を持続継続するために、運動性を超越する非現実的な事象といえる。そこから派生するものは、歩いたり走ったり車の運転で流れ去っていく景色を眺めて想 […]
49 essays for "Investigation of memory"

49 essays for “Investigation of memory”

 然程多くない自身が書き散らかしたものから4950を選び、最近の作品を56頁にまとめた画像ブックに添えるものとして編集。全て過去の散文であり書き下ろしたものはない。秋の個展時にはあわせて発刊。一瞥すると私の作品は多岐多様である印象から複雑怪奇に眺められるという傾向にたいして、ひとつの個体系譜としてやや離れて眺めることができるよう配慮したつもりだが、スマートなスタイリッシュなものとは言えない。  梅 […]
book

book

 山にて生存をはじめてからの自身の取り組みをBookにまとめることにした。全てを網羅する大袈裟なものではないので記録の選択からはじめた。時間軸にてエポック的な画像だけで済ませるつもりだったが、タイル状に並べてみると、各事象のディテールが失せて、抽象に片付けられてしまうと気づき、やはり呟きのような時々の言葉を添える必要があると感じる。説明というよりも、断層的な特異な時間の現実感に人間的な奥行きを与え […]
ドローイングという計画

ドローイングという計画

 素材の扱い(仕方)を吟味精査する意味はある。蓋し計画の視覚化というべきだろう。憖堅牢を求める平面構築とは異なり、時間を注ぐよりも別の、謂わば具体的な展開の足がかりとしたい思考の実験といっていい。  それにしても、遠くへ放っていた「描写」に感けると、これはこれで行為として自足する。途中で具体形象は写真でもよかったと思うのだったけれども、仕組みを考えると描いたほうが早い。モデルを宙空に静止させること […]
枝

 秋にまとめる平面的なものを主軸とした個展の、未だ平面展開の見通しもないけれども、拙い取り組みの内でやはり性情に逆らえず立体的な構想が浮かぶに任せる。  半年前には、ドミノ用パイン材を使い、その工作に「ヴィトゲンシュタインのペントミノ」と名を与えた、ヴィトゲンシュタインの建築設計介入に想いを馳せるようだった立体物群が、それ以前の崩れた矩形断片と交錯し、二年越しのモネ百年を律に投じた平面へ移行し、大 […]
帰還ノ季節

帰還ノ季節

 気持ちとは裏腹にゼロから立ち上げるという思春期ではないので、自身の排泄責任、歩みの傾向に従って、泥にまみれた眺めがこちらそのものだ。この汚れもこの春はどこか爽やかな気もするのだからおかしいものだ。  半年の間、率直なベクトルに沿って、あるいは地に足を張る為とはいえ、まるで幽体離脱していたような日々の、浮遊の、離脱の、憑依もできない根無し草の態での精神生活から、魂を軀に引き戻し、自らの血の巡りへ魂 […]
孫瞳ノ芯

孫瞳ノ芯

 娘夫婦が孫を連れて遊びに来た。生後4ヶ月の赤ん坊は7kgになっていて重い。若い夫婦の幸せの絶頂期をお裾分けしていただく。
標高気温

標高気温

 リトルフォレストを再び観て、流石に原作者が気になり、五十嵐大介(1969~)を調べて捲る時間があった。画家を目指した青年が漫画家となって成功した図を俯瞰すると、生真面目な独考の姿が長々と横たわった「オタク」的なこの時代の「雄」の真摯な形のひとつと見受けられる。同時に観ていた「途方に暮れる」状況をそのまま寓話化させたミッドナイトスペシャル(Jeff Nichols 1978~)の、唐突な事実に照応 […]

山椒季譚

 京佃煮わらじやのちりめん山椒をネットで注文し、真冬の白米に乗せては食しあっという間に平らげていた。尖った味覚を舌に残しつつ、庭の幼木に縋った揚羽の羽根文様を浮かべ、あるいはまた、つし王(厨子王)に復讐された大夫父子のくだりを捲り直してみたりしていた。  冷蔵庫に生ものを買い置きする質(たち)ではないので、瓶詰めの香辛料ばかりが並んでいる。スパイスを巡って文明が激烈に移ろったと思えば、胡椒にしろ醤 […]
整理整頓考

整理整頓考

 数年で使う事のできなくなるモノ(PC)を使う自らの精神の脆弱性を問うつもりで、なんとかならないかと、あれこれ時間をかけて併置し直すことを繰り返していた。所謂アップデートという「よりよくなる」概念に騙されているわけだから、アップデートしない環境保持を仮設する。4K48インチモニターを導入したが、4K(3840×2160ピクセル)で、表現される画面に出力するデバイスは限られており、出力したとしても、 […]
唯物速度図

唯物速度図

 過去、現在の自身の年齢あたりを想定したわけではないが、中年の終わりの自覚に包まれて自らの立体的な作品群の中を歩む夢を、不思議な体感をともなって幾度か数年の間隔をおいて繰り返してみていた。夢ではまるで根拠や系譜のない具体的な彫像のようなものもあり、欲望が羨望と溶け合った間違いの光景として、都度笑って過ぎていく程度だったが記憶には強く残った。
天狗宇宙舟四十六艘

天狗宇宙舟四十六艘

 十八ヶ月前に神楽を浮かべて下書きをしていた「天狗の宇宙旅行」というイメージは、季節が移り変わる度に池の底から浮かんでくる泡ぶくのように繰り返されていた。丸谷才一と山崎正和の「日本史を読む」という対談冒頭で語られる、斎藤茂吉の万葉集解釈と大岡信の解釈の違いの指摘、丸谷自身が首を傾げた記憶から紐解く万葉恋歌の実際の環境構造への眼差しに大きく得心するものがあり、今回準備制作しているいわば「反矩形」のア […]