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帰還ノ季節

帰還ノ季節

 気持ちとは裏腹にゼロから立ち上げるという思春期ではないので、自身の排泄責任、歩みの傾向に従って、泥にまみれた眺めがこちらそのものだ。この汚れもこの春はどこか爽やかな気もするのだからおかしいものだ。  半年の間、率直なベクトルに沿って、あるいは地に足を張る為とはいえ、まるで幽体離脱していたような日々の、浮遊の、離脱の、憑依もできない根無し草の態での精神生活から、魂を軀に引き戻し、自らの血の巡りへ魂 […]
孫瞳ノ芯

孫瞳ノ芯

 娘夫婦が孫を連れて遊びに来た。生後4ヶ月の赤ん坊は7kgになっていて重い。若い夫婦の幸せの絶頂期をお裾分けしていただく。
標高気温

標高気温

 リトルフォレストを再び観て、流石に原作者が気になり、五十嵐大介(1969~)を調べて捲る時間があった。画家を目指した青年が漫画家となって成功した図を俯瞰すると、生真面目な独考の姿が長々と横たわった「オタク」的なこの時代の「雄」の真摯な形のひとつと見受けられる。同時に観ていた「途方に暮れる」状況をそのまま寓話化させたミッドナイトスペシャル(Jeff Nichols 1978~)の、唐突な事実に照応 […]

山椒季譚

 京佃煮わらじやのちりめん山椒をネットで注文し、真冬の白米に乗せては食しあっという間に平らげていた。尖った味覚を舌に残しつつ、庭の幼木に縋った揚羽の羽根文様を浮かべ、あるいはまた、つし王(厨子王)に復讐された大夫父子のくだりを捲り直してみたりしていた。  冷蔵庫に生ものを買い置きする質(たち)ではないので、瓶詰めの香辛料ばかりが並んでいる。スパイスを巡って文明が激烈に移ろったと思えば、胡椒にしろ醤 […]
整理整頓考

整理整頓考

 数年で使う事のできなくなるモノ(PC)を使う自らの精神の脆弱性を問うつもりで、なんとかならないかと、あれこれ時間をかけて併置し直すことを繰り返していた。所謂アップデートという「よりよくなる」概念に騙されているわけだから、アップデートしない環境保持を仮設する。4K48インチモニターを導入したが、4K(3840×2160ピクセル)で、表現される画面に出力するデバイスは限られており、出力したとしても、 […]
唯物速度図

唯物速度図

 過去、現在の自身の年齢あたりを想定したわけではないが、中年の終わりの自覚に包まれて自らの立体的な作品群の中を歩む夢を、不思議な体感をともなって幾度か数年の間隔をおいて繰り返してみていた。夢ではまるで根拠や系譜のない具体的な彫像のようなものもあり、欲望が羨望と溶け合った間違いの光景として、都度笑って過ぎていく程度だったが記憶には強く残った。
天狗宇宙舟四十六艘

天狗宇宙舟四十六艘

 十八ヶ月前に神楽を浮かべて下書きをしていた「天狗の宇宙旅行」というイメージは、季節が移り変わる度に池の底から浮かんでくる泡ぶくのように繰り返されていた。丸谷才一と山崎正和の「日本史を読む」という対談冒頭で語られる、斎藤茂吉の万葉集解釈と大岡信の解釈の違いの指摘、丸谷自身が首を傾げた記憶から紐解く万葉恋歌の実際の環境構造への眼差しに大きく得心するものがあり、今回準備制作しているいわば「反矩形」のア […]
形態離脱置

形態離脱置

 音節(聴覚)の浸透的経験値(知)から生じていった西欧的文節とは異なった、形態(ゲシュタルト:gestalt)からの文法構築(おそらく記憶化、記録の必要がまずあった)、つまりこの国の、即効的なイメージの輸入に対して東へ流れ果てたモンスーンの音節を*ヒューモアの屑を払わず嵌め込んでいって言語史の軸を織り成し、それが巡りアンチロジックのプログレスの気性として現在に到った(そして今後も変わらない)血脈と […]
南行伴親

南行伴親

 年齢相応足腰の弱り果てる前に少しでも旅を愉しみたい母親を連れ一ヶ月前に予定した県を南下する車の旅は快晴に恵まれた。兼ねてより所望されていた追分の堀辰雄文学館から小海高原美術館を巡り、八ヶ岳北側の標高二千メートルを越える麦草峠から奥蓼科、茅野へ降り立つメルヘン街道をゆっくり走り諏訪秋宮脇の新鶴の塩羊羹を土産に求め湖岸の下諏訪博物館から片倉館、諏訪市美術館などを観て上諏訪紅やホテルで宿泊。翌日は一気 […]
残痕間引

残痕間引

 ある種の抑圧、制限の元での反復は貧相な安定を齎す。その境遇を至福と感じる小さな時間が転がるものだ。だがいつまでも継続させることはできないと気づけば、その途端に悪しき循環、血の巡りの不具合のあれこれに眉をひそめる。  丁度一年程前の取り組みを制限の中で広げたことで、あの時には思いもしなかったことが降ってきたけれども、半年前に引き受けた愚鈍の継続の、惚けた放下を一ヶ月後にはボリューム造作する必要があ […]
余白利試

余白利試

 ロールキャンバスの端切れからどの程度が利用できるか木枠を充てるとS4程度が組み立てることができるとわかった。寸法を測りつつ組み立てたみっつの画布に、なかなか踏ん切れないIM正方の白い画面を前にして、木炭を持つとそれだけで展開は広がる。感応に任せる性分ではないので、せいぜい、最近は、近代以降を払って中世から拾った悉(フェルメールを除き、ラファエロ、ミケランジェロ、ダ・ヴィンチなどが下手糞、癖っぽく […]
空構季紘

空構季紘

 モリヤ企画Nagano Art File「10×10」の為に、今年初頭のSelf Standing Sentences以降継続していたナガノオルタナティブ展開予定「反矩形」を圧縮させた「空構」を、20ばかり仕上げて、夏の平面を引き受ける準備をするが、「ミケランジェロの井戸」の展示が終わり次第、長々と加筆することにしているので、併行することになる。