京佃煮わらじやのちりめん山椒をネットで注文し、真冬の白米に乗せては食しあっという間に平らげていた。尖った味覚を舌に残しつつ、庭の幼木に縋った揚羽の羽根文様を浮かべ、あるいはまた、つし王(厨子王)に復讐された大夫父子のくだりを捲り直してみたりしていた。
 冷蔵庫に生ものを買い置きする質(たち)ではないので、瓶詰めの香辛料ばかりが並んでいる。スパイスを巡って文明が激烈に移ろったと思えば、胡椒にしろ醤油にしろタバスコにしろ、刺激味自体が、大きなことを示唆しているような気がしてくる。この冬は寒い日ばかりだったので、獣の冬眠に似ているような時間を過ごしたせいか、獣たちが春の香り高い新芽で冬眠の不純物を嘔吐するのと同様に、観念の紆余曲折が澱となって溜っているものを、嘔吐すべき季節かなと。


学名のZanthoxylum は黄色の意味で材が黄色いことから。また、piperitum はコショウのようなという意で実が辛いことからきている[3]。
「椒」の字には芳しいの意があり、山の薫り高い実であることから「山椒」の名が付けられたと考えられる[4]。
別名であるハジカミ(椒)はショウガなどの他の香辛料の別名でもあり、その区別のため古名では「ふさはじかみ」(房椒)、「なるはじかみ」(なりはじかみ、成椒)と呼ばれた。「はじ」は実がはじけることから。「かみ」はニラ(韮)の古名「かみら」の意で辛いことを示す。「ふさ」は房状に実がなることであり、「なる」は実が成るハジカミであることを示す[5]。
英名は、Japanese pepper、Japanese prickly ash[3]。
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