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WPIF BB

WPIF BB

 1988年の真冬に歩き回ったベルリンの道端の露天で、マフラーやスカーフを針で止めるピンの先に小さな人型が取り付けられているアクセサリーが売られていて、思わず幾つか買い求めていた。よく憶えていないが15マルク程度だった筈だ。大量生産の輪郭が朧になったものではなく、丁寧に木片を削り出し彩色を施したものだった。売っていた人間がつくったのだろう。過去の一瞬の出会いは記憶に一旦整頓されたけれども、数十年を […]
道具ノ姿勢

道具ノ姿勢

 雪の融けた庭の、この冬の圧雪で折れてしまった八重桜の幼木を、根はしっかり張ったようだったから諦めきれず、傷口をバンドエイドで治療するように、添え木に麻ひもをきつく縛りつけてから焚火をした翌日の朝、霜が降り溜息をつく。
膨西光夕重力

膨西光夕重力

サスケと呼んでいる近道の一部で二十日間ほどの工事がはじまり再び大池脇を下り上る。
揺枝木鉢蟄風

揺枝木鉢蟄風

鉢の植え替えをした翌日の店さきでどっと一気に並んだ枝木鉢に近づいて座り込んだ。すっかり季節はかわったか。
座陽繋想休

座陽繋想休

湯槽で古井を捲ると脇腹の痛みが消える。
白夜明

白夜明

鳥餅のように重力に逆らって雪を集めた庭先の枝は重そうではなく軽やかな綿菓子にみえる。

態基本

知らぬ野に入る心地を基本とすればそれまでの姿勢でしか分け入ることはできない。
斜脈促

斜脈促

ショップセル用サウンドワークCD slash,context,urge (2010~2011) 制作。
薫檜読

薫檜読

樹脂の蓋のどうしようもなさに辟易し廃棄と決め檜の蓋板にして書物片手に試浴すると予想を大きく越えた噎せるほどの香りに仰天し瞼閉じ捲物を閉じ投げて鼻腔から脳天にあるいは内蔵へ渡る樹木の精に身を任せて弛緩する。
地膝浮

地膝浮

三本松のコメリで手斧を買ってから、握りに張り付いたシールを紙ヤスリで剥がしながら、その鬱陶しい時間のおかげで、そういえばアライから20年前に貰ったものがあったと憶いだす。どこかに仕舞ってある。
三十六

三十六

山野楽器でAcross the Universeがはいったビートルスのスコアを購入。 きょう36℃だって。銀座で待ち合わせたハルボウの第一声。まだ六月だってのに。原宿で買ったおニューのアーミージャケットがなかなかよい次女と、8丁目で開催されている二ノ宮女史のグループ展へ行き、10月の軽井沢トポスの進行スケジュール計画を手渡す。説明しながら、他人事ではないスケジュールのタイトさにあらためてヤベエなと […]
驢馬軸

驢馬軸

放置状態だったSR400を査定し、大枚はたいて車検を通し復帰させるくらいならと下取りに出して、YAMAHA Tricker 250 の中古を探してもらう。新車はあまりにその輝き自体が恥ずかしいし、インジェクションの新型もアホ臭いのでやめて、丁度店頭にあったタイトなプロダクトの初期型(キャブ)を、多少弄ってあるけれど、これでいいかなと選ぶ。