すぐにそのシルエットが人だとわかった。レンズのせいでほぼ全体を占める遠景はぼんやりとボケているが明るい。もしかするとこの人は、窓のある部屋の、陽射しの届かない場所で蠢いている。右側の髪の毛に触れる指先と眉間あたりが見えた。
そのシルエットが画面から消えても、なにか小さな音が聴こえたので、必ず再び顕われると思った。画面を支えるカメラは固定されているが、時々遠景のボケが歪む。オートフォーカスのセンサーが、虫かなにかを捉えたのだろうか。でも、新しく見えてくるものはない。恣意なのか盗撮なのか撮影ミスなのか判別しかねる。 » Read the rest of this entry «
shadow
3月 24th, 2010 § shadow はコメントを受け付けていません § permalink