光景がまずあるという身を踏まえるのか捉える軀から発生するものが景の前に用意されていると白を切るのかおそるおそるすり足で躊躇いつつせり出すように肩から首を突き出す猫背の腰つきで前方へとすすむ鷲掴みの格好の指先が地熱を受けるかに下に向けられたまま節々は所々凝り固まってひくついている。手首の指先のような足爪先であったならこうした辿りはねっとりとした耽美となるにちがいない。などと極北と極南を爪先から脳天へ置く観念の瞑想地味た四足歩行の邪気も生まれるままに糞尿ごとく放って、やはりすり足の白足袋はぐったりと濡れ汚れ踵から草をすり潰しては運ばれるがそれは自らの意志ではない動きであるとみつめ下ろす目玉の重たさの印象の滴りの音の震えは実はぜいぜいと細い呼気の歯茎からの漏れであった。傾きの軀にとって水平も垂直もいわばそれは虚位の観相と嫌悪へ避けられるかに幾度か瞼を強く閉じていた。故に沢の流れも溜りの気配も耳にだけ受けとってすり足の途切れた跨ぎを余儀なく踏み越える倒木の朽ちる根付きの崩壊の暗闇のような穴の豊穣さへ足袋を脱ぎ捨てて足首を差し入れ蠢くものらが集るに任せることは意識とは離れた場所の姿勢が促した形態のぽきんと折れるような物理変異のひとつでしかなかったから群がりを掴んでは口に入れ奥歯で擂り潰すと強い酸味が広がりこれがそうかとヒトの血をおもわせる。 » Read the rest of this entry «
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