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浴場人
記述の前にカテゴリーが錯綜するなと呆れる。だがそういう日々だった。
走緑遇
父親の日々悶々と続けられている篆書と、この三つの漢字でまとめるメモの反復が、観念の外で捩れて響いたかもしれない「場映活系」(バエイカッケイ)という開発も、個人的には慣れた響きとなったが、はじめて聴くこの音にぽかんとする人がいて当然だ。 文脈が固有な肉体的なものだから、説明は、文字の示すこととなり、だが響きはどこか遠いことのように残ればいいと幾度か思った。
三十六
山野楽器でAcross the Universeがはいったビートルスのスコアを購入。 きょう36℃だって。銀座で待ち合わせたハルボウの第一声。まだ六月だってのに。原宿で買ったおニューのアーミージャケットがなかなかよい次女と、8丁目で開催されている二ノ宮女史のグループ展へ行き、10月の軽井沢トポスの進行スケジュール計画を手渡す。説明しながら、他人事ではないスケジュールのタイトさにあらためてヤベエなと […]
検証地
年齢の割に日々行事や寄り合いや用事があり、それになるべく断らずに参加出席することは老化の防止に役立っていると自負する父親は、週に一度は書道を教える教室に車ででかけ、なにかにつけ外に出たがる母親も、父親をお抱え運転手と頼むので、実家にいると運転手の役割がこちらに回ってきて、この時とばかり父親は書斎兼書の制作部屋に引き蘢る。こちらは父親の車をその度に借りるよと両親のスケジュールを確認しながら動かざるを […]
査行究
schedule memo / may,2011 Two solar – 断章の併置(固有名の連結)から連想構想の拡張(ふたつの太陽:仮題)/ 記述継続構造の調整 investigation of self-destructive behaviour – 「自傷・自滅型」思考・思想傾向の「併置景の展開」検証 return position from branching pr […]
流超季
撮影の後で大正年まれの壮健な画家である田中先生に夕食を一緒にいかがですかと丁寧に誘われたが、行った事もないボリビアの山岳のような眺めの作業がオフィスに残っている。有り難いけれどもと連れの生方、加覧両先生方にもすみませんお先に失礼させていただきます。頭を下げた。土産まで頂いた上りの常磐線で、下り時には眠気が差して瞼を閉じていた車窓の景色を、夕刻の時刻の日差しとこの季節の萌え色と、乳母車の父親似だろ […]
見検験
あれこれ経緯があり、Nikon Binoculars 8×21 CF,Binoculars 8~16×40 Zoom を、思いがけないタイミングで使うことができるようになり、望遠レンズという経験値と、見ることが、これまでのこちらの撮影から切り離されたみつめとなって実に面白い。ファインダーを覗くことが、シャッターと連動されているカメラと違って、バードウォッチングや野球観戦、オペラ […]
明暗淵
木炭で素描をしていた頃、中間のトーン(調子)が苦手だった。未熟な青臭い瞳にとってはくっきりとしたコントラストは気持ちがよかったし、木炭の粒子をデリケートに繰り返しのせてはけずり定着させる焦るような手元ではイメージの実現(というよりビジョンコンバート)はなかなか簡単ではなかった。同じ制作の時間の中で、清廉清明な画面を仕上げる友人を畏怖の眼差しで眺めたものだ。淡い明暗の判然としない霧の中の情景のような […]
流時態
書棚の向かいにある硝子戸の棚の下の段に、あちこちから拾い集めた石を並べてある。大きなものは外の物置に置いてある。同じようにこういう馬鹿げた収集する人間はいる。変成した化石を求めた山道では10キロほどの塊をリュックに入れて汗を流して下山した。海辺の浜や、河原で何気なく手にしたものをポケットに入れて持ち帰り、時にはそのまま忘れ、時には机の中央に置いてしげしげ眺めたけれども、それぞれをどこで拾ったかなど […]