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放棄しては眺め、時折近寄って触れる、アナログを手探りでリハビリする時間の経過は、退行とも思われる画面がみえてくるが、そんなことはどうでもよかった。喪失していたあれこれを時には懐かしく、時には今の今になって腑に落とす。リンシードを混入させた乾燥遅延の混合オイルの彩りに戯れつつ、気づけば2年以上過ぎている。個人的な取り組みであることが知覚的に都度強調される行為の促すことは、同時に運筆の固有な根拠であ […]
一期積層「同田貫」
重ねる度の節度があり、その節操は次の重なりを呼び込みながら、重層的に太くなるような律を生む。勿論振り返るように戻って抑制の幅を整理し直すことも可能だが、雨降りの水滴を想って止める。 同田貫をこの層におもう。 ー同田貫(どうだぬき)は九州肥後国菊池の同田貫(地名)を本拠地に、永禄頃から活躍した肥後刀工の一群。延寿派の末流とされる。銘を九州肥後同田貫、肥後州同田貫、肥後国菊池住同田貫などと切り、ま […]
境郭反復
十五年前の境界(輪郭)を巡るプランスケッチを振り返り、現在と照らし合わせるということを行う。「明快なブレ」のようなものごとの輪郭をズラした形象として繰り返されたものだが、今みれば2Dと3Dの狭間に居る居心地の悪さのようなものを感じる。だが当時も今もこうした考察は現実空間に投影する計画ではない。つまり「スケッチ」として記憶する為にあったように行われ現在もそう在る。 現実空間のアナログ展開として、 […]
鉄家共燃態
1995年にユネスコ世界遺産の文化遺産として登録された、岐阜県白川村荻町、富山県五箇山相倉、菅沼の各集落に在る合掌造りの家の大きな屋根とその形は、環境と住まう人間の「家族」が明晰に示されている。現代の記号的な「家」は、核家族を表象していて小さいキューブに小さい屋根がかけられている程度だが、合掌造りの家は、「屋根裏部分を2層3層に区切り、天井に隙間を空け囲炉裏の熱が届くようにして養蚕のための場所と […]