深雪軀
只管降り続くので午前中2時間ほど雪かきをする。ガレージの入り口は昨日オサメに手伝ってもらったのでそれほど苦はなかったが、道路からみると両脇に2メートルほどの山ができて屋根から滑り落ちたものが加わってかまくらの中に家があるようだ。
父逝日
早朝父親の意識が無いという妹の電話で車を走らせ実家の母親を同乗させて慌てて病院へ行くと、呼吸器をつけたほうがいいと医師より指摘され即座にそれに同意し、顔色の変わった反応の無い父親の胸の自立呼吸だけをみてまだ大丈夫とひとりで混乱を戒めた。家族を呼んだほうがよいという加えられた指示に従って娘らに連絡し、次女の高校にその旨を伝えとにかく新幹線に乗れと伝えた時は、まだ漫然と経過する快復期の途上の気持ちがあ […]
素疑腎
日曜日の夜に38度まで熱を出し翌日には収まったが食事に手が出ず血液検査をすると入院時よりもヘモグロビンと白血球値が下がっており、貧血状態で顔色が一変して赤みが消え呼吸も喘ぐようになった。担当医師より説明を受けたが、他の数値から栄養のバランスを崩しているとだけ示され、根源的な理由が何か息子は戻ってからいろいろと調べて腎臓にたどりついたが、あくまで素人探索にすぎないし、なぜそうなのかという理由までは探 […]
眠径路
11時に実家に行かねばならなかったので5時には冷えた寝室のベッドに入り9時に目覚めるとゲストは皆起きており30分後には全ての車を走らせた。途中携帯に母親から狼狽えた電話がありすぐ行くからと10分後実家の寝室をみると父親が半身をベッドから落として身動きができなくなっている。口をあけたまま四肢が動かない。朝食を摂らせようとベッドから移動させようとしたが反応もないと母親は云うので、一旦父親の細った軀を抱 […]
大月隠
配達で起こされてから風呂に入って届いたものを湯槽の中で捲る。咳の中幾度か繰り返したことを明晰なものにしたいのでノートを広げて線を引いてから、辞書をひらく。温まった軀と多分睡眠の不足で昼下がりの気怠い眠気が額から瞼、顎へ滴ってカウチに横になる。少しは眠ったのか。徐々に部屋に残っている冷気で落ちた眠気も凍ってしまい窓の外を眺めていることに気づく。
式魂潔
Сталкер (1979) / Тарковский (1932-1986) を観てから、Teorema (1968) / Pasolini (1922-1975) を続けて観ると、半世紀過ぎた映像の示す交錯が、構造と純潔との、思いがけない事故に塗れた交差点のようなものとなって朝浮んで広がる。