窓父車
当時の医療技術のせいか深く刻まれてた、時には自慢していた若いころの腸閉塞手術痕を避けず、真っ直ぐ同じ箇所を縦に切り開かれた腹の傷を気にして、促す看護士や家族の言葉を、父親はまだ嫌だと振り払い、風呂は勿論シャワーも浴びずに、時々妻と娘の手を使い蒸したタオルで身体を拭かせるだけだったが、流石にいい加減にシャワーくらい浴びろとこちらも朝から詰め寄り、休日の担当の看護士の方もかなり強い口調で促すというより […]
声月下
0911 2011 from baeikakkei / T.M on Vimeo.
風白露
母親の大腸内視鏡検査があり、昼過ぎに市民病院へ連れていく。昨日から食事をせずに朝から2リットルの下剤で腹を空にし、父親の連日の見舞いと、ばらついた食事などによったか、痩せたねと指摘すると、家族は皆痩せたわ。と呟いた。3ミリの良性ポリープがみつかったが、一年後にも一度検査して、大きくなっていたら取りましょうという医師の言葉に対して、またこんなことと思わず口に出たらしい。
既視現
99年に描いた絵空事の中で、独りの男が空っぽの部屋を拭き掃除している場面があり、あれは入居の、場所への導入、介入の契機であったけれど、今回は撤収の場面で、同じことを行っている実際の自身がいて、どこでリバースが始まったのか列車の中で小さな混乱の想起を転がしていた。丁度三回目のスライド、転機、変化といえるかと、90,20と、30年を振り返って、否、絶えず予感に支えられた、既に観ている現在がそこにあった […]
漠整間
ハルボウと友だちの桃ちゃんを起こさずに市街に下り、頼まれていた寿司を受け取って新盆に両親を連れて戸隠へ行き寿司折りを平らげてから、西宮の叔父家族を新居を紹介して、霊仙寺湖で遊んだ娘らを研のレガシーでピックアップしこちらはチャリを荷台に入れて連れ戻る。ふたりで二時間ほど飯綱東高原を彷徨ったらしい。いかにも夏休み。両親をを送り返す下りの途中で飯綱山に登って降りたと丑山から電話があった。戸隠山に登るつも […]
躯術向
三人の健やかな若者が一時間もかけずにすっかり荷を運び出し空になったオフィスを後にして夕方7時の列車に乗り、迎えの車の中で妹から、本日近親者同席で担当外科医から示された父親の手術説明詳細を聞く。
腰水腕
回線工事の日であったので、父親の検査には母親と妹が付き添って、遠隔転移を調べる胃の内視鏡検査を行った。胃は問題がない。8日の内科から外科への引き継ぎと手術説明の後、10日に大腸検査という流れになった。幾度か電話で確認する。栄養を摂って手術に備えるべしと諭されたという。
会懐顔
イケダがその時は既に東京に居たシミズが遊びに来た際に会ったことがあると云っていたので、それでも15年ほどになるか。シミズと彼の嫁と子がオサメのアンデルセンに宿泊したので、居酒屋きらびにてヤマモト、アオキ(イケダワイフ)らと合流し、最近の疲れを吹っ飛ばすほど呑み上げる。フランス語であなたという意味の名前の4歳の息子はたしか蒼鷲といっていたか。青鷲か。小型シミズはやんちゃでなにより。声が実に可愛らしい […]
草匂雲
食欲が快復した父親は一時退院の時と比較して若干頬にも肉がついたようで、それを指摘するとへへと笑みをこぼした。早朝から書類残務に付き合ってもらってから送り届け、そのまま書留を受け取りに信濃町の柏原集配所まで車を走らせる。牟礼駅から国道を走ったので、寄り道をせずに周回路を選んで黒姫の裾野を真直ぐ走り坂中を越えて市街に戻る。数字をみると40キロに満たない距離が、新たなフットワークの基本的なテリトリーなの […]