回線工事の日であったので、父親の検査には母親と妹が付き添って、遠隔転移を調べる胃の内視鏡検査を行った。胃は問題がない。8日の内科から外科への引き継ぎと手術説明の後、10日に大腸検査という流れになった。幾度か電話で確認する。栄養を摂って手術に備えるべしと諭されたという。

フロントフォークのシリンダーに亀裂があったようで部品が届いた連絡を受けて、早朝、家族が病院にでかけてからまずバイクをショップに運びタクシーで戻り車で飯綱へ。昨日と合わせて都合10個の書籍段ボールを運んだが、実家の前の道路が工事で車を寄せられず、父親が不燃物などで使っているリアカーで駐車場まで個数分往復し、それぞれ40キロほどの重い荷に負けぬよう、腕に力を注いで意気地を出しえいさと蟻行したが、腰と腕の弱さを今更に思い知る。
エントランスの手すりを水拭きして、余計を簡単に掃除し、まだ馴染まない住居内の敷居の引き戸を取り外し、9日の東京からの荷下ろしに備えていると、回線工事の業者が現れる。
奥の部屋に回線を引きたいと申し出ると、床下から行ってみましょうと潜ってもらうが、希望の場所まで到達できず、では、天井から入りますと、上から落としてようやく回線完了。所用時間3時間なり。ごくろうさまでした。付近の電柱からの電話線は、一度雪で断線し先住者が雪を逃れるルートで引き直してありますねと指摘され、見るとなるほど。ひかり電話なので、電話線は必要ないので、ひかりケーブルだけ、雪に耐えられるように繋いでもらう。プロバイダーも継続するので、これまで使っていた無線ルーターを繋げるとあっさり回線が流れほっとする。

打ち合わせに長野へ行っていたというオサメが珈琲を持って現れてくれた。ありがとさん。バイクをとりにいかねばならなかったのでドアを閉め、近所におそらく一軒しかない県道沿いのエルムという喫茶に連れ立って、ふたりとも昼飯を喰っていなかったのでおそいランチを注文する。オサメの注文した蕎麦カレーは、本人曰くおすすめとのこと。こちらは長細い器に盛られた野菜カレー。近くに引っ越してきましたと店のオーナーに声をかけると、あ、あそこのと先住者の名前がポンと出て、顛末の詳細まで一気に語られ呆気にとられたが、なるほど、人口の密度と店の機能を考えれば何も矛盾しないと帰り道車の中で納得した。

父親に車で送ってもらいバイクを受け取る。
終日病院の検査、付き添いなどで疲労の翳りのある両親を座らせて、夕食はあっさりと冷やしざるきしめんに決めてキッチンに立つ。大根おろし、茗荷、生姜、を薬味とし、キュウリの浅漬けをこしらえ、玉葱も生のままスライスして鰹節と和える。医師より栄養を摂りなさいと指摘された直後の昼飯をやや重く摂ったらしい両親は、あっさりとした夕食を喜んだ。
明日早朝東京へ。