1995
仮想空間計画(Realtime Interrupt)/James P. Hogan (1995) 経験を巡る環境への派生リアクションのリアリティを確認するように辿ると、所謂Cyber-space(William Ford Gibson1948~)-Virtualロジックというよりも、知覚経験の、肉体的なfeedbackとして、アバターに知覚を全的に投射して受け止めるという理屈で展開される物語は、な […]
いい女
「いい女」/古井由吉のエッセイの、何気ない言葉(いい女)に潜む差別的・傲慢な意味合いを再び辿ると、若い頃飲み込んだ「エッセイズム=刃の輝き」は失せていたが、女性の側の年齢に依るある種普遍と思われる揺らぎのようなものが濃霧のように頭に染み込み閉口した。晴らすには富岡多恵子の同様なものよりも、いっそ味気の無いものがよい。新幹線では「世界の歴史2 ギリシアとローマ」/村川堅太郎責任編集:中央公論社を、そ […]
ごまたまご
実家への土産に銀座たまやのごまたまごを買うと、最近の事情でか、売り子が賞味期限とその表記を殊更大袈裟に説明して示すので、和菓子業界全体が撃ち震えていることを実感する。 約束の時間より1時間ほど早く軽井沢に到着し、Jinの健康検診が終わる迄、プリンスのイーストモールを探索する。降り立ったプラットフホームからゲンレンデでボードに興じる人々が見えたので驚く。気温14°少々寒いので軽装に不安を感じつつ、荷 […]
夢
12~18歳の頃の親しかったが、以降数十年会っていない友人の妻が亡霊となって窓の外に現れ、指先で濡れたガラスに指紋を残した。外の土を掘り返すと、砕いた白骨を丁寧に積み木のように細かく並べた木箱があり、気づくと年齢の重ねていない友人が後ろに立ち尽くしている。 山小屋で、キノコばかり喰っていると話す初老の美術家と、キノコを肴に酒を呑んでいた時に、物音に振り返っていた。 清明な静かな表情の友人の、月明か […]
手に触れるものは
手に触れるものはすべて腐り果てる。 この身体は呪われているから、ひっそりと隠れて戒猿のように息を押し殺して生きなければいけない。 気づくまでに随分時間がかかった。振り返ると地や大気に夥しい数の悪臭を放つ触れてしまったものが、妙にエロティックに蠢いている。 これが罪というものだったと奥歯を噛み締める気持ちも失せて、顎は下がり、目玉も白濁し、数時間前に流し込んだ味の無い溶けた飯を足元に嘔吐し続けた。 […]
