静止捜査考
120314 from baeikakkei / T.M on Vimeo. 現場や証拠の写真を壁に張り巡らせて、容疑者や彼の動機を組み立てる捜査官を映画や書物の内で眺めていると、撮影した静止画像を幾つも置いてみつめる自身の目つきが、物語の探索者とほとんど似ていることに気づく。 捜査官の視線の行方は、画像には見えない「秘匿性」に向けられ、床に転がったハンカチーフの片隅の小さな模様から導かれた生 […]
本四冊編
千から六十を選んで本として整える仕事に手間取ったのは、主観を排除したいと願ったからだったが、いずれこうした作業は無理があると判り、入替えや差し替えを繰り替えすことにも厭きて、変哲の無さに落ち着かせると決めた途端に幾分楽になった。 続けて「あなたの人生には関係のないこと」というタイトルの自家写真集をこしらえる為に画像八千弱からほぼ二百を選んで現像しつつ何かが抜けていると感じる。一万を超えれば余程 […]
七光闇切態
厨子王の「復讐」が薄められた鴎外の意訳から説教節に戻り、やはりまた構造のダブルバインドとなった徹底という出来事の描写(認識)が、関わりの頓着となってこちらには浮かび上がり、厨子王の日々を手元に集めるような念となり、憑依とは異なり何処か透谷に似てくる。 山庵雑記 (1893)・三日幻境 (1892) / 北村透谷 (1868~1894)
剪定枝窓
当初思い描いていたものを見直したのは冬に展開するインスタレーションから演繹するような時間的配置で制作詳細は決定すべしと判断したからだが、同時により一層余計を省き恥を抱き込んでもよいから身体の清潔をせいぜい示す程度の意味合いを加えたいという想いが増した。古井からポール・ド・マン(理論への抵抗)へ読み移るこちらの流れもあった。季節もある。無論年齢的なこともある。 時節柄ここ数年に渡る試論めいたさま […]
水指行方
昨年修復したテラスは一冬の圧雪を乗り越えたが板が二枚反り返っているのがみえる。樹々の枝の先端に生命の力が色彩で示され、それに促されるようにこちらのカラダの軸から胎動するなにものかがある。みえることみることがこうした季節の移り変わりの時節に翻るような効果を齎し外の世界を眺めているその実感をともなって自己に率直に向くことを悦ばしく感じながら、せいぜいこの「率直」だけが頼りの足取りを誇ろうかなと。
併置似吐息
譬えようのない抽象から様々なイメージが放射される自由と比較して、落葉の如き言説を借りる佇まいの併置は、其処への眺めを落葉言説の余白へ広げるならばよいけれども、言語束だけに留まる硬直を与えるリスクがある。設置から戻り記録を精査しつつ、併しここにきて無意味な放下を気取って日付のようなタイトルを付したならば、樹木の根枝としての自らの時間を、むしろ秘匿するような陰りが尾鰭となる。それは既に切断した筈だった […]