水路系 / Waterway
「環境における水路」は動的な「流れ」を示唆し、次元変異の装置とも考えられた。「池」を通過する意味で、囲いの決壊した溜りが必要と思われ、透明な反射皮膜も加えてよいかどうかを決めていく。
時置差空
三割ほど片付けた書斎を軈て150%あるいはそれ以上に整理する意気地が湧きかけたが、行方を辿ってあのスペースを空にするか仕舞う箱のようなものが必要であると判り、加えて重なり置いた書籍類の新たな書棚も作るかと図面を引く。時間とともに加えられる「モノら」を気侭に放り出し続けることは堕落に近いぞと戒めるけれども、つまり生活の併置という仕方は簡単なことではない。十五年も前に身の回りを粗方片付けた際には、ア […]
計画素描
20年以上過去に放ったまま幾度か時折眺めていたスケッチからひとつを選んだわけではない。原型構造を新しく整えたものだから眺めの時間は加わっている。形象的に単純化した当時と現在とではそれを踏み台にする行方のヴィジョンが大きく変わっている実感を、諄いように与える計画的素描をはじめたのだったが、構想の実現へ具体化させるのではなく描かれるまま非現実的な膨らみを許す気持ちに従ったのは、素描が示す限定的なもの […]
粒膜外還
まず状況へ還す程度を識るために粒子の定着のレヴェルを試みる。描きの初動、タッチのような瑞々しさを全て潰してしまうのは馬鹿馬鹿しいので、囲碁のような後半勝負のせめぎ合いとなるかしら。 指に染み付いたものを払うのはかなり面倒だなと。 木炭紙と木炭に限定することに無理はあった。とは言え粒子を色面的に扱うつもりもないので、描きの速度の問題と、近視眼的な「戻し」(返還)を、スティックの描き根性という快 […]
辿書眼精
しっとりとした反復安寧の時を感じるままに草刈の続きにも手を出さず、昨日は手術前のストレスが見受けられる母親を遠路買物に連れ出してドクダミを手に入れ、立ち寄った草木の店では幼木にも目をくれる。夕方前には山に戻り60年代の記録映像を観てからいずれにしても半世紀かと溜息を伴わせて70年代を捲っていた。
良象過
まだやりかけのことは幾つもある休日とは云えない日だが、気象がよろしいせいもあり、草刈りなど混ぜて過ごす時間が実に瑞々しく感じる。ほぼ一ヶ月に渡って大工のまねごとに精をだした。多くの方の協力をいただき非常に助かった。軀を動かせば動かすほどに頭の中も刷新され、よいことばかりとはいわないけれども、足が地に着く実感が増した。同時に眺めのパースペクティブで利己的なことと利他的互恵的なことの差異が明瞭になり […]
気象軀置
言語特性に忠実ということなのだろう、この国の言葉へ変換後の「音読み」ではなかなか馴染めないセンテンスの構造があり、だがすんなり口語に結ばれる意訳というのも卑しいものだ。読み込みが寸断される翻訳に慣れるまでは、仕方ないと諦めて捲りはじめたパヴェーゼの「美しい夏」の、結局こちらには馴染みそうにない物語でさえ、辿ってみたいと思うようになったというべきか。
好奇牽引
関心の地平は裾を広げ散漫にただ拡散するだけなのかと首を傾げた時もあったが、漸く支える土地のような眼差しとなってきた。幾つかの戒めで瞼を細めた時もあり、そんな時は払拭の汗を流すだけしか術を知らず、延々と繰り返され辟易の痕跡も、時が過ぎれば瑞々しく蘇るのだった。 拘束の不自由を幸せと捉える亡父が行者となって夢に顕われ、彼の意識の弛緩がわたしに重なりなるほどと外に出て歩いていた。幾度か父親と千日回峰 […]