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2年前に狭いオフィス開設時に持ち込みを断念し積み上げたまま、時間の折り合いがつかず放置していた15年分のポジフィルムやカセットテープなど入れた箱を開き、隙間に入れていた、手に取ると思いがけない過去が蘇る雑貨の類いも、ひとつひとつ手に取り、名刺や年賀状等は残すようにして、他は分別ゴミ袋に投げ込み、書類の類いも一応目を通し、現在の捉えに残ったエスキスなどは別に纏め、いらぬものを紙のリサイクルとして紐で縛り、段ボールも同じく折り畳んだ。プロジェクター投影のシステムの横に、中型フィルム用プロジェクターを併置しポジを投影して、デジタルで再撮影するほうが、ダイレクトスキャンよりもいっそフィルムらしいからと決めた。膨大なフィルムを整理する時間はなかったが、いずれ時間を割かねばなるまい。

過去のフィルムや鉛筆のエスキスを眺めるとその時の感覚が記憶として浮かぶが、同時に現在との差異が明快になり、眺めの質が変容している実感を得ながら、当時見えなかった可能性の枝が過去の表象から伸びることもある。都度選びぬいた選択の意志自体も変わってきている。だからといって辿り着いた現在が最善であるとは限らない。過去を併置して等価に置くことで、自らの骨の髄のようなものが見えるようになるのだと、腹の中で呟きつつ、どこからか「身の回りを整理して死ぬんじゃないだろうな」と聞こえた気がして振り返り、汗を拭った。

東京へ帰り、出力の仕事を広い環境でできるようプリンターを搬送。業務を片付け再度長野へ戻り、月末までに出力する形態を纏めることにした。今回膨大なポジを眺めたせいで、フィルムカメラ(Mamiya7, Contax G1, Contax T2, Nikon FM3A)の撮影も再開することに決める。


新幹線の往復車両の中で、死者の部屋 / フランク・ティリエを捲ると、劇画風に下卑ており、どういうことだと投げ出す。
勝ちどきでビジュアル関連の機器とメディアを梱包し大きな箱を2つ集荷依頼し搬送。6×7ポジもと思ったが見送る。フィルムカメラも同梱する。月曜の昼には業務を済ませ、片付けも終わったので、ロケの日程が詰まり気味であることもあり、昼過ぎの新幹線に再び飛び乗る。