L1001708

朝方の雪や雹には呆れるけれども気持ちは急いて燃料効率で閉め切っていた扉を全て外す。

測光で光を逃していたこともあり段階補正を加えレンズを絞り上げる為に早朝三脚を担いで樹々の中へ入る。成程光の上限を捉えれば黒の中の微光は含まれる。この逆は逃すのみ。
ローアングルの撮影計画に伴って自室やリビングでの床から壁面への立て掛けにて置くだけだった作品を全て壁掛けに変更しより見えるようにする。
扉を開け広げた影響もある。見えている状態を維持することで検証と気づきの契機をというわけだがこれはこれでなかなか視界から朧にもなり得るので架け替えの頻度を高めるしかない。

湯槽の中での再読のレヴィ・ストロースの庭 / 港千尋をあっさり捲り文体とかテーマというより口調というものが今回感じ残ったのは、熊谷達也の寓話の言語感の不満というより言語選択の不徹底による苛立がその前にあり堀江敏幸のエッセイ短文に硬質な透谷詩文を並べ長文に比べ落胆した経緯があり、写真集の行方としてこうした取材と比較論を混ぜたエッセイ地味た手法はW・G・ゼーバルトを想起させ、こちらの構築中のものとの近似値もないことはないけれども、声が聞こえてくる口調の速度が併置写真の速度(写真自体はスタティックで速度ゼロだが数ページに渡る場合はその捲りゆくスピード)との併置で広がる余白に大いに関係するように思える。短いひとつの一文がひとつの描写を表出する時の速度というものに徹底して終始つきあう態度が律として土台を耕されていないとつまらない。