亡父遺作展会場受付番のお供に現代詩手帳「吉本隆明追悼特集」、文藝「古井由吉連続インタビュー+14人の作家が選ぶ偏愛的他薦作品」、新潮「窓の内 / 古井由吉新連作」。午前に記録撮影。
この時にこの現代詩手帳を読めば「今」がよく判る必読の書といえるけれども、海外からの寄稿がないのが奇異にみえる。付録のCD「孤立の技法」はとてもよい。文藝の古井特集は何か大袈裟で、今更慌ててという妙な感触はある。堀江敏幸のインタビューは好ましいが体質が似ている分インタビュー特有のひび割れが無くちと弱い。
遺作展に多くの方が足を運んでくださり恐縮しきり。展示も義弟家族と納、非常に懐かしかった十数年ぶりに会う北田稔さんも展示手伝いに駆けつけていただき、照明から体裁すべてがなんともどうしようもないギャラリー空間を辛うじて成立させることができた。150ほど持ち込んだ作品を35に絞り込んで余白の広がる歩みを促すカタチにしたのがよかった。けれどもこちらの恣意の空間ではないので細かいことは家族の希望に任せた。
flat fileのモリヤ君にお願いした額装は評判が大変よろしいので、今後こうした書のフレームとして売り出すべきと感じつつ短い期間で制作してくれたことを感謝する。
交代で昼飯に家族を送り出し客足のひけた会場をひとり歩くと、父親の指の動きが作品の上で時に繊細に時に笑い声を伴って微動するのだった。