photo by Hanayumi Ishizuka

崩壊と生成を同時に受け止めることができる希有な感性をさらりと手品のように具現化した石塚花弓氏の一輪挿しが気になり、メールにて売ってくれとお願いする。

尺の短い茶筒型の廃墟から拾ってきたような見事な素材感の陶器は日々みつめる机に置いて中には何を入れるか決めかねているけれども、作家が「イトトタネ」と命名した一輪差しは、それ自体の真っすぐに置くことができない種のカタチそのものがみつめることを促す。丁度母の日によいとふたつ注文。

父親の遺作展のために方々に散逸贈呈している作品を展覧会の時だけ借してくださいと頭をさげて車で回り、ついでに父親の車のタイヤの履き替え実家の庭の水まきホースのセッティングなどしてから戻り、午後はずっとHenning Schmiedt (1965~)のピアノを聴きながらリビングのシングルソファにて仕事。窓を開けているのでピアノの音に照応するように鳥が囀る。

一緒に届いたまだ若いNils Frahm (1982~)を暗くなってから聴く。24年前にKaiser Wilhelm Gedächtniskircheの前ですれ違った6才の子供だったかもしれない。そんな風な記憶を伴ったあの街の大気が部屋に蘇った。