唐庚(1070-1120) / 宋詩選注〈2〉

    栖禅暮帰書所見

    雨在時時黒
    春帰処処青
    山深失小寺
    湖尽得孤亭

    春着湖煙膩
    晴揺野水光
    草青仍過雨
    山紫更斜陽

雨が降り続きいつまでも暗い。
春が戻ったようで草木が青々としている。
山は深くなった。寺はどこだ。
湖のむこうにひとつあずまやがみえる。
春の湖面に霞がひろがる。
晴れた陽差しは川面に輝いて揺れる。
草木は通り雨で一層青くなった。
夕日をうけた山はさらに紫となる。