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「白い、白い一日・・・・」から

タルコフスキーが1986年にパリで亡くなる3年前の亡命宣言をした1983年から翌年にかけて、イタリアのサン・グレゴリオで、小説「白い日」と「鏡」の撮影直前のシナリオ最終稿をもとに、「白い、白い一日・・・・」は執筆された。死期を感じ取って「未完の達成」を目論んだのかどうかわからないが、新たに加えられた母親への幾つもの問いの列挙が目をひいた。20世紀を二つの世代の揺らぎで描くことの再試行に、見る事ので […]

吉本ばなな

長女のクリスマスプレゼントに贈った吉本ばななの自選集1巻のオカルトを彼女の書棚から借りて読みはじめたのは、内容のない使えないアプリケーションの参考書を放り出して、結局所謂「作品」に「わからないことの答えのようなもの」を探すしかないと踏んだからでもあるし、青年期に奔走したように、現在の「わからない旬」を描く作家をもう一度丁寧に探すその手始めで「月の砂漠」から読む意欲を繋げたからでもあった。批評やエッ […]

参考書

わからないことがあるとネットで検索してみてから、本屋へ出かけることになる。「わからないこと」のほとんどは、南アメリカの小さな川だとか、15年前の同級生の名前とかといった、こちらがたまたま知らないことではない。こちらのわからないことにピンポイントで明快に解答を与えてくれる情報はほとんど無い。web検索で数十万、数百万の類似情報が引っかかるのに、検索を絞ると、該当する項目は無いとくる。誰もがこの「わか […]

月の砂漠

角川書店から昨年末の12月25日に出版された青山真治の「月の砂漠」を、学校帰りの古本屋で見つけた日の二日ほど前の朝、妙にクリアな夢をソファーで辿り直し、確かに当時から映像に関わっていた大学の後輩のこれまでの仕事の幾つかを手渡されるということの、これまた飛躍に満ちた唐突な印象の再現の余韻が、点と点を結ぶように、その「月の砂漠」を一気に読み干すことに繋がったように思える。シニカルに選んだ映画の幾つかは […]