1988年の真冬に歩き回ったベルリンの道端の露天で、マフラーやスカーフを針で止めるピンの先に小さな人型が取り付けられているアクセサリーが売られていて、思わず幾つか買い求めていた。よく憶えていないが15マルク程度だった筈だ。大量生産の輪郭が朧になったものではなく、丁寧に木片を削り出し彩色を施したものだった。売っていた人間がつくったのだろう。過去の一瞬の出会いは記憶に一旦整頓されたけれども、数十年を […]