寝床に這った小人が爪楊枝ほどのカミソリを喉に仕込んだのだろと目を開いたまま思うような痛みで言葉も喋りにくくなり成り行き任せ娘を同伴した軽井沢行を取りやめて早朝から病院の梯子をして長野市民病院に辿り着く。
「扁桃周囲炎」と病名からすれば風邪をこじらせたもの程度にしかひびかないが、気管と食道の使用が難しくなり食べ物は勿論水も飲み込めず筆談頼りとなり腫れが酷くなると呼吸困難になり、部位切開手術に至る死に直結する病というより故障であると実感。青年から壮年にかけての暴飲暴食から発症することもあり、他異物を挟むなども考えられる。こちらは喉に魚の骨が刺さった程度に考えて適当な素人処置を繰り返したものが悪化したようだった。耳鼻科専門医が不在だった飯綱町町立病院から次女が探してくれた宮下耳鼻科へ回り症状を見た初見で入院ですねと長野市民病院への紹介状を書いていただき即行。この時夏休みで二週間ほど遊びにきていた次女を実家に置いて別れ彼女は東京へ戻る。採血・点滴・入院準備のため一度山に戻り、午後2時から夜中まで点滴を続ける。独りでは限界を超えるという言葉に甘く魘されて我慢を続けてしまったかもしれない。次女がその経過を良く知っていることが、早急に恢復処置へ移行できた大きな理由でもある。家族は死に関わる唯一の存在ということだ。痛みの中に現れた亡父の仕掛けだという錯覚も更に促した。
終日点滴三昧の格好で継続入院した三日目の朝、初日の点滴後から格段に鈍くガウス化された痛み輪郭がふいに消え、飲み物をごくごく音を出して飲み込んでいた。点滴のせいか流動食をすべて平らげる食欲はないが、ラーメンが喰いたいなと。
クリンダマイシン点滴/リンコマイシン系の抗生物質/リンパ系に効き目が感じられる。リボゾームの50Sサブユニットを阻害して細菌のタンパク質の合成を阻害する。wikiより
口腔内感染症、ペニシリンアレルギーがある場合の咽頭炎や副鼻腔炎、腹腔内感染症、CA-MRSA(市中獲得型MRSA)感染症、表在性皮膚感染症、深在性皮膚感染症などに有効
ワイスタール静注用1g
敗血症、感染性心内膜炎、外傷・熱傷及び手術創等の二次 感染、咽頭・喉頭炎、扁桃炎、急性気管支炎、肺炎、肺膿 瘍、膿胸、慢性呼吸器病変の二次感染、膀胱炎、腎盂腎炎、 腹膜炎、腹腔内膿瘍、胆嚢炎、胆管炎、肝膿瘍、バルトリ ン腺炎、子宮内感染、子宮付属器炎、子宮旁結合織炎
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