昨年も同じ事を想ったと憶いだしながら随分鳴き始めるのが早いなと早朝窓外の蜩の声を聴く。
大気に斜線を引くような小鳥たちの囀りがかき消される蜩にはっと気づかされたように散らかった机回りを眺めそろそろ片付けをしなくていけないとつぶやいていた。几帳面なほうではないからスケジュールをノートに書き込むことをせずに上を見上げて頭の中で行動の順番を転がすので転がすものは喪失することが屡々あるが失ったことが例えば蜩や小鳥の囀りで不意に目の前に転がり出る。この感覚は悪くないけれども取り柄とは言えない。そういえば今年は腰を据えてと意気込んで年度の記載されたスケジュール帳を購入したが、捲ればその過ぎ去ったほとんどがスケッチなどで、行動の予定等書かれていない。こういう落書きばかりする生徒を叱りつける先生が浮かぶ。仕事にしても作業の順番を守ってひとつ始末して脇によせ積もった上から次へなどと運べないので、辺りは散乱を極めるわけだ。でもまあこれがこちらの生き方でもあったりする。