photo by Kiroku Kobayashi 2012


母方の叔父たち二人は兵庫と北海道から遠路一周忌法要に来ていただいた。長女を見送った法事翌日土曜の夜に札幌の叔父とワインを二本とボトル半分を呑み上げて血筋系譜など亡父供養ともなった話を深夜まで滔々と続け山に戻れなくなったので実家仏壇の前に布団を敷いて眠る。

徹底的に雑草を毟り一ヶ月の花の園が広がる叔父の庭の写真を度々眺めたいのでお借りしスキャンして駅まで見送った日曜の翌日朝、その庭の6月頃の広がりにつくづく感心するのだった。齢75にもなって毎日10キロを一時間で走る叔父のその気概は座り込んで草を毟る後ろ姿と重なりどこかで亡父の筆を持つ指先もそこに降りて健やかというより清潔な大人の成熟の極めて柔らかい優しさのようなものになってこちらを癒すのではなく逆さまにむしろ厳しく戒めるので、躊躇しつつもその明るい輝きに促され、午前に来訪していただいた浄化槽の業者の方と保守点検続行契約を結んでから(業者の方は雨合羽の下履きを玄関に忘れていった)、週末に訪れるゲストらと行ってみようと考えた地図には道もなかった戸隠と黒姫の間にぽかんと在るとgoogle mapでみつけた古池へ「善光寺さん」という奇天烈な漫画を持ってきたオサメと一緒に下見にでかけたが、生憎の雨の中県道からの入り口で国有地故侵入を禁ずる場所で諦めて引き返し、帰路立ち寄ったランプ屋工房カフェで思いがけず様々を尋ね、成る程戸隠の登山道から行くのか。雨の日は濁流でむつかしいなど情報を得て、工房を経営される家族の方々にもまた来ますと頭を下げ、こちらの住処より更に標高の高い原生の林の残る新しい「場所」へ、眼差しと好奇心が膨らむのだった。