新盆の提灯を叔父たちが用意してくれるとのことで父方の家紋である抱き沢瀉がなかなか珍しいのだと知る。

家紋などの印が家やら家具やら衣服に縫い込む習慣はないしそれとこの身がどのように繋がるのか現実感も乏しいが、仏脇に置かれる提灯に印されるので、いずれそれが家系の霊の道筋を照らすような意味合いとなって刻まれるのかもしれない。

父方の抱き沢瀉は謂れを調べても調べずともその図案の示すのは好戦的な武具を示していて勇ましいほどに実は農家の筋ではなかったかと多分豪農時に稼いだ銭で買ったものかもしれないなどと転がした。家紋を生き長らえる世代が懸命に守る家などなくなって久しい。妻の喪服の襟にこの抱き沢瀉が縫い込まれているわけではないが、例えばあったとしてどこかぞっとするのは、既に二人の娘が嫁にいけばこの家も絶えるとどこか気楽に諦めているからであるかもしれない。

ーAlismataceae 世界中に11属、約90種が生育する。湿地やため池、水田などに分布する種がほとんどである。種子で繁殖するほか、塊茎や栄養芽などで繁殖する種も多い。クワイのように食用に給されるものや、サジオモダカのように薬用に用いられることもある。しかしウリカワやオモダカなどのように水田雑草として厄介者扱いされる場合もある。また園芸目的やアクアリウムで栽培される場合もある。
日本においてオモダカは「勝ち草」と呼ばれることもあり、戦国武将や大名家でオモダカの葉を意匠化した沢瀉紋が家紋として使用された。前者の例には豊臣氏や木下氏があり、毛利氏も副紋として使用している。後者の例では徳川家譜代の家臣水野氏のそれが著名である。ー wiki