父の日と誕生日を合わせた娘らからのプレゼントの、割と高かったとハンズのシールのあるひげ剃りブラシを有り難く机に掲げて、里奈が居眠りをしている横でハルボウのラップトップの文字化けなどを弄ってから、長女の内定祝いをトリトンにて行う。食事の後、書店で河出書房文藝別冊2002年初版、2011年5月末日増補新版初版の中上健次特集が、見下ろした膝下の棚の一部分で輝いているのを発見し、磁力をそのまま受け止めて購入。娘らがデザートを喰う隣で珈琲を流しながら、吉増剛造の「白いようなこの夏に彼の声がふと聞こえる気がする」を(これは2002か忘れたが辿った事がある)捲り開き、唐突にアドレナリンが分泌嗚咽感が喉元にこみ上げた。咄嗟に理由がわからないまま子供たちの手前気づかれないよう堪えた。場所に関する繊細の、おそらくこちらの感性に一等近いものを、この特集を捲り確認し(自覚し)、外は大荒れ内は静寂な夏の再読として、こちらの文脈理屈の分枝であると以前より薄々予感があった中上健次全集に決める。本棚を振り返り、今度はごく自然に振り回されないでいようと考えた。

SUNNY / TOWA TEI CD
City Limits Vol.1 / Silkie CD
City Limits Vol.2 / Silkie CD 6/25