坂中トンネルを抜けて牟礼から黒姫までまっすぐふたつの峠を越え、信濃町で国道に入って久しぶりの野尻湖を右折して左回りにゆっくり走り、一度目的の場所を通り過ぎてから戻り、このあたりか。斜めに駆け上がる坂道を頂上まで上り、建物の形を確認しつつ下り始めた右手に唐突に探していた物件が目にはいった。うーん。一昔前の別荘開発地の一角で、冬は厳しい。アプローチがかなり急な坂道で冬場は使い物にならない可能性がある。管理された別荘地である為、一般車両の進入が規制されているが、この時とばかりバイクで気楽な近所のオヤジとなって勝手に動き回ったが、遠目にしただけで内部等を視察するのは、案内を頼む時に見送った。即座に飛びつく物件でなかったことが残念だが、ささっと往復55キロを気持ちよく制限時速で飛ばし引き返し、他のリストアップへ目をやって、やや値段は上昇するが黒姫の物件に指を止めた。

家族が誕生日を祝ってくれるというので、ワインやら酒やらと寿司を喰い、翌日のJinとmasazのワークショップに行くよと連絡して、土曜日の午前中は、リストアップしたものの中から、たき火のできないマンションを辿るが、途中で炎に触れられないなんて意味がないと放り出し、幾つかの現地案内の依頼をする。快晴の気持ちよい空の下、バイクにて小布施へ。館長花井君のまちとしょテラソには初めて訪れたが、なかなか軽快な図書館となっていて、施設の案内をしてもらいなるほどと感心する。展覧会もできるというので、是非考えさせてと館長にお願いし、また企画書を送るからと、この図書館という場所性をトポスに組み入れる考えを巡らせたが、ここは独立した場所の意味合いの完成度が高いので、場所へのアプローチ云々のトポスとは切り離し、混在を示すより個展のシンプルでスタティックなものを展開するのがよろしい。帰り道千曲川の橋の上辺りで、流れる河原に目をやり考えていた。なかなか盛況なmasaz先生の銅版画(腐食系)ワークショップを冷やかすと、実に何年ぶりか教え子だったhokkaがいて驚く。週末にはよくこの場所を使うのだという。jinとさらっと話してから、まだやることがあるので、バイクで戻り、物件探しを延々続けながら、気づけば机に突っ伏してよだれを垂らして暗くなるまで寝ていた。