業務の傍らマット系アート紙が終わってしまっていたので、注文したものが届くのを待ちきれず、光沢紙で出力しその有様に冷や汗が流れていた。一言でいえばインクの無駄。使いものにならない。
ぐっと気分が暗くなったが、モニターの横に立てかけどこが悪いのか一晩眺めたが、気分は恢復しなかった。出力不能を補うというよりそこに足りない強靭さを求め、深夜に仕事を放り出し朝迄テクストを耕し続けていた。

土曜の午後にようやくアート紙が届き、この為に選曲したものを流し、段階的な諧調現像を早速時間をかけて出力すると、ようやく望んだかたちが姿を現したので、肩から力が抜け腹が減った。こうした日が続くと考えて歓びが広がる。どこか老いた両親の日々の庭いじりと同じと思った。
次女からぎりぎりで英検記述試験に通ったという連絡があり、来月に延期された修学旅行を前にした定期試験勉強で机に貼付く意気込みを聞く。娘の声が瑞々しい。

時間を挟み、一度鉱物を叩き割り、縁の尖った欠片を研磨してからもとの形へと修復したつもりの記述を幾度か繰り返して眺めると、研磨がまだ充分でなく、予期していたはずの隙間が不均等で偏っている。イメージの掘り下げ不足、語彙不足、構築力不足、と不足が連なる。例えば、眉間と額と顳顬と頭蓋という研磨の言葉の引き寄せる隙間の差異を、明晰に見極めていない。色のレトリックも下手糞で、引用と繕いの脆弱がある。などなど。と頭をかいて出力したものを眺め、これになんとか救われている。

6時間で7枚出力して精神が限界となり、実家へ忘れてきた手漉き和紙の送付依頼のメールをうつ。これで夢を待つことにする。

Youngia


反射面がある程度大きくなると、やはりガラスでないと清潔な水平面は望めないので調べると、2mmのガラスが額装の場合、2mmアクリルとの交換に応じていることがわかった。併し幾度かこの2mmのガラス使用では薄さによる脆さを経験しているので、3mmから4mmのガラス使用のフレーム制作が可能な工房を探す。
フレームの正面枠幅に拠るが、マットの余白がフレームに応じた広さがなければ仕立てが貧相なものになる。窓とマット部分とフレーム幅の、寸法を変えた平面図を幾つか引き比べるが、実際の環境下での反射や質感などを具体的にイメージするには、心もとない経験にすがるしかないが、これも楽しい。
世界堂でみつけたフレームがフラットで幅5mmとタイトであるので、これにしようと決めかけたが、平面図上で眺めるうちに、マット余白を充分にとったスケールでは、構造的に不安になり、ガラスの厚さを先行した決定とすることにした。2mmと3mm、できれば4mmがよいが、ガラスの重さという問題がある。加えて、地震などによる落下崩壊で散乱する危険物と考える必要もあり、そうした保護フィルムシートなどを貼る方法があるようだが、地震でなくとも落ちて簡単に壊れる代物であってはこちらも困る。
那智勝浦の工房をみつけ、オリジナルフレームを丁寧に制作していることが伝わってくるサイトから、ガラスの厚さの件で問い合わせることにして、再び、現在の出力を安定的に作品化させるフレーム平面図のプランを繰り返す。

週の頭から外回りの業務が重なり、カメラなど持参できずにあちこち巡るが、これもロケハンとなる。業務の間で、木島平の手漉き和紙への出力を、知恵を絞って行うことが、これはプランを超える大きな楽しみとなる。

*幾分割高だが、3mmガラス可能とのことで注文を決定。