雨の休日は時折窓の外の雨音を採録などしつつ、非常に気に入ったぶ厚いA4ノート(LEUCHTTURM1917-AGENDA)に、細かい設計図を連ねて終日開発に勤しみ新しいプログラムを試みていた。晴れた月曜日も午前中は昼過ぎ迄開発業務を継続し、風のある午後はよく晴れたが若干肌寒いかと重ね着をして、レンズテストの続きをするために千曲川河川敷まで車で移動、思いがけない満開の樹々と菜の花に圧倒されていた。家族連れやカメラマンもちらほら花に塗れていた。千曲川は昨日の雨で濁っており残念だったがこれもよしとした。仕事場に戻ると、注文した二冊が届いており、これらを開く前にと、ベットの横に置いたままだった本を手にして湯槽に入る。薦めた人間から手渡された時に添えられた言葉通り、数時間で速読できた「告白」湊かなえ(1973~) は、ほぼ全てが人間の吐露という形で記述されている点と、そのせいでおそらく展開と結末がレトリックに傾いた恣意のギミックと読後に受け止められる点が、こちらにしては物足りない。これは最近のエンタメ傾向のような気もする。物語に登場する人物は普遍を標榜するが、訳ありを内在しレトリカルにその内実を前後暴露させるのはハリウッド的とも云える。なるほど故にベストセラーということか。これもドラマか映画になりそうな気もするが、お粗末な構築で新人タレント輩出に終わりそうでもある。「殺人者」の吐露に責任を持って言及する姿勢は評価すしてもよいが、人間自体が個々高々一冊で説明できるほど浅薄な存在ではないのだから、その台詞の細さに土台無理はある。書店で新刊「少女」(2009年1月)が出ているが購入は見送る。自身にとって重要な作家とはならない。
届いたばかりの「展回点を求めて-1960年代の研究-」 / 富永茂樹編の冒頭を捲り、編者の導入記述の中にいきなり「言葉と物」ミシェル・フーコーが目に入り、いささか萎えるが、著者がひとりでないことが救いか。写真集トオヌップ / 小栗昌子(1972~)は、ペラリと捲っただけだが、表紙を飾るポートレイトがずば抜けている。写真というより、この被写体の人物が動く映像物語を夢想したくなる。画像アスペクトは67。かなり意図的に焼き込んでいるものが多い。人物の失せた光景は恣意が若干目立つ。けれども個人的に最近では非常にフィットする。
ふと2002年に作品の構造研究をしていたモランディー(1890~1964)の作品を浮かべ、書棚を探すと小さい画集がみつかり捲り眺めて、描写だよなと。
レンズテストは光量を意識的に操作しすぎて画像は学習レヴェルに退行。これも仕方なし。明日の朝の気温は氷点下に下がるとのこと。早よ寝よ。晴れたらロケ。5Dのファインダー内のゴミが取れないので、非常に気分が悪いので送りか。
5Dをカメラのキタムラ北長野店にてファインダー清掃修理に出す。時間はかかるらしいが気分が悪いので仕方なし。
La Sconosciuta(2006) / Giuseppe Tornatore(1956~)
Laser Rain / LEO今井(1981~) / amazon / Connector, Synchronize, Tokyo Lights 2, School On The Hill, interview, interview (YouTube)
菜の花ならば飯山が凄いと聞いたので、昼間から友人と樹木の世話の約束をして、その後はマティーニを煽ったらしい父親に留守番をさせ母親と車で出かけてみた。往復2時間程の道を、春萌えの山々の産毛のような色彩を遠く目にしながら、濁りの消えかけた千曲川沿いに走り、一度急勾配の雪の無いゲレンデを背中にして木島平へ入り、再び飯山市内に戻る北竜湖手前の丘が黄色く匂い立っていた。こちらとしては菜の花よりも、このあたりの河川敷の植生の眺めのほうが印象に残る。丁度連休の前ということもあり、出店の準備などされていたが訪れる人はまだ数えるほどで、数日後には人間の黒々とした群れが菜の花を凌駕するだろうといらぬ心配が過る。最近は足が弱くなり歩けば痛みのある母親を延々と歩かせるわけにもいかず、その後は新幹線工事の進行が乱暴に突き刺さるような景色を横に昼飯をと飯山駅前に戻るが、列車旅行の激減した車社会のせいか駅前は老舗のような構えも仕舞われており、中野まで戻って草原ラーメンで中華そばを食べようかとそのまま帰路につくが、草原ラーメンは定休日で、では国道沿いのいなせはと寄るとこれも定休日で、仕方なく母親は初めてだというフランチャイズの幸楽苑に入る。午後3時前には帰宅し、夕方迄デスクワーク。
未見坂 / 堀江敏幸 (1964~) / amazon
BOY A (2007) / John Crowley (1969~)
光州5.18 (2007) / Kim Ji-Hwan(1971~)
American Gangster (2007) / Ridley Scott (1937~)