休日を放心して過ごそうと、翻訳家の言葉をそのまま信じて、普段あまり親しみのないライトノベル「空の中/有川浩」を読む。床屋で漫画を捲るような気分。読み終えて長女に渡す。飛躍と抽象を絞って、その他の関係を常識的にすり寄せる手法だが、子供向けのSFといったところか。登場する人間の設定が、いかにも作者に支配され、操作されていて、受け取る側としては、そうした捏造のセンスに嫌気が差すと読む事ができなくなる。休日でなかったら、早々に放っていた。構築のニュアンスがinnocence / Mamoru Oshiiと酷似している。悪しき閉鎖言語空間の自閉症候群に含まれる。
何も残らない読書の後に、TVで座頭市/Takeshi Kitanoを眺め、ひどい音響(BGM)に家族で文句を投げる。長いCMを観ているような感覚。続けて、考えずにレンタルしたSwimfan(プール)を観るが、これもどうしようもないテレビ番組崩れ。深夜から僅かな期待を込めたMemento(2000)(ラテン語で「記憶する」「考える」の命令形)に救われる。21gramsに少し似ている構造編集が天才的。断片化のまま走りきるのは気持ちがよかった。Christopher Nolan監督のデビュー作Following (1998)を発作的に注文。Insomnia(2002)は、昨年劇場で観たけれど、首を傾げた記憶がある。AL Pacinoと、Robin Williamsというキャスティングの斥力で、物語のコンセプトが希薄になったような気がしていた。処女作に期待。
二日前、しょうもないサイバームービー(Surveillance)の物語の単純さには呆れ、傷エラーで停止するMI2 / Jhon Wooの勘違いに辟易したが、データーの表示処理速度に関しての閃きは生まれたのが成果。


Boys Don’t Cry(1999) / Kimberly Peirce (1967~)を深夜から朝方にかけて観る。秀作。中盤から後半がとても良い。9:16の画面比率が良い。現在制作中だろうか、Kimberly Peirce次回作は、The Ice at the Bottom of the World(2006)。主演のHilary Swank(1974~)が素晴らしい。最初は、Insomnia,The Coreに出演していた同一人物と判らなかった。俳優の知性を存分に感じさせてくれた。
Plot Outline : The story of the life of Teena Brandon(1972~1993), a cross dressing youth who preferred life in her male identity as Brandon Teena. When Brandon’s best friends make this discovery, his life eventually is ripped apart by betrayal, humiliation, rape, and murder.
性同一性障害を真っすぐに描いている。真っすぐにというのはこの手のモチーフの場合難しいのだが、特殊化させないで、どこにでも転がる出来事として扱う姿勢が潔い。
目の前にAMISTAD(1997)_DVDがあるが、観る力がなくなったので、ちょっとヘビーな仕事の後にする。