この春、VEのためにBerlin1988を制作しながら、画面に顕われたベルリンのコンサートホール近くにあったRichard Serraの作品を眺めてから、2003年のGagosian Gallery(555 West 24th Street, New York NY 10011)で行われた最新の作品への進化に口を開けて呆然と眺めたものだった。”Wake(覚醒)”、”Blindspot(死角)”、”Vice-Versa(逆転)”、”Catwalk(キャットウオーク)”らの、圧倒的な巨大さは、Syusaku Arakawaにもつながる。人間に感応する鉄の重さと圧力をここまでひたすらに持続するRichard Serraという構想力には頭がさがる。だが新しくなればなるほど、ユーモアに溢れているように感じるのはこちらだけか?こうした作品の存在を近くに感じながら、きょとんと眺める欲望の瞳を宿らせなければつまらん。1988年に観たパリのポンピドーでのFrank Stellaの巨大さを憶い出した。