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L’Enfant(2005) / Jean-Pierre Dardenne(1951~),Luc Dardenne(1954~)
uniFrance

コンビニでアントシアニン36%のブルーベリーエキス(DHC)を買ったのはいいが、1日2粒という食感の無い健康食品は身体に効いているのかどうか実感が湧かない。やはり目元が重くなり、見えなっている事を気にしないようにしていること自体にはっとして、とにかく全て放り出して、瞼を閉じていた。
端末の処理待ちの横で新しい大統領の就任スピーチを聴いてから、再び「ある子供」を観ながら、数日前google earthでガザ周辺を調べた際に、この土地がガーゼの語源であると知った時の、「あっ」と小さく声を漏らした痛みのようなものを憶い出していた。たった一人の男の言葉を、世界中の人間が耳を澄まして、静まり返って聴く時空を共有して、世界は熱狂の狂いから醒めて、未知の惑星に降り立った開拓者のような無防備な弱さをこそ、自らの力と知る時に至ったかなどと更に重ねた。

夕方ララポートの紀伊国屋で、ぺらっと捲った新刊(とはいっても2008年11/30発行)の、女性が静かに語り出す文体の清明さを許すように購入(天童荒太)。部活の無い次女と待ち合わせて、ショッピングに付き合い久しぶりにまともな食事を摂る。

shade建築パーステクニックガイド
悼む人 / 天童荒太(1960~)
どこから行っても遠い町 / 川上弘美(里奈用)
庵堂三兄弟の聖職 / 真藤順丈(はるな用)
スノーバディーズ 小さな5匹 / DVD (はるなおねだり)


気づけば12年の醗酵成熟の作品をさらっと読むのは憚れたが、遅々とした端末の書き込みを待つ間、終日外出での仕事を控えていたけれども、「悼む人」半分を辿って朝となった。よく考えれば、非現実的な捏造の設定のあれこれは、清明で時に心地よい飛躍の導きが挟まれていることで、成熟の時間をぽんと圧縮する。この圧縮は、鍛錬された技巧によってなされていれば、受け止める側は頷いて堪えることができる。これが肝だと思いつつ、作家の生活の机の上の朱にまみれた草稿等が勝手に浮かんだ。地下鉄ではクレオール主義を捲ると、場所の開放と執着が腑に落ちて、記憶のダンボール箱に乱雑に突っ込んでいた「あれこれ」というイメージが現れ、横から唇を尖らせてフッと吹いた吐息でパズルの解答を得たような潔癖さを伴い、乱雑な断片の幾つかが振動して回転などして符合し、血液型はA ではないけれど、トポスと倫理と過去と態度といったタグが断片に打ち込まれ、難解なパズルTを解いた清々しさで箱は整理されていく方向性(運動)を持つので驚いた。
日を始めると奇妙な縁は続き、ファインダーの中の人の顔が鮮明な生として躍動し、「記憶しなくては」と慌てるのだった。まだ若い人の人生の選択の理由を聴く時に、存在への慈しみ自体を生き方と決めた潔さが、ダンボール箱の整理の隙間の形にすっぽり符合するので、帰りの地下鉄では、妙に眉間に皺を刻んでいた。