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一昨日に喰ったものを憶い出せない。暫く唸った。
嫌な揺れ。ゆっくりと部屋が撓むような地震が今起きた。腰を伸ばしやや上を見上げる。まだ揺れている。
早朝迄、三本立ての業務の順序を入れ替えながら芝生の雑草を抜くような反復、絵を描くような無邪気、卵から怖々覗いているような手つきで時間と折り合いをつけた。昨夜の酒も明るくなる随分前に抜けた。背を丸めて俯くように指先から糸を伸ばしていた。
窓を開けるとからっとした青空だったので、6時前にカメラを担いで散歩に出る。歩き始めて数日蓑虫のような仕事を手元に集めていたと気づく。豊海運動公園の濡れた芝生が鮮やかでパチリ。豊海小学校とTTTの間から橋を渡り、建設中の駐車場を見上げてながら抜け、晴海5丁目の広い空き地を有明のほうへ歩いてパチリ。護衛艦はたかぜが停泊している縁を晴海客船ターミナルへ向かって、樹間の路を行くと、東京オリンピックスタジアム予定地と説得力の無い看板が廃墟のようにぽつんで立っている。あたりに何も無いから、歩道も整備清掃されずに、雑草が伸び放題。それが光景として心地いい。

80mmとズームを次回のロケの為に実家に置いてきたので、50mm1本で歩いたが、戻って眺めると、なかなかこのレンズ優秀で気に入る。ファインダーを覗いている時はいささか不満が膨れるのだが、結果がそれを大きく覆す力がある。ジャージのポケットにMR-1を入れて歩いたが、使わず仕舞い。23カットを選ぶ。
大量のスパムを処理しながら、セス(Seth)という名前に目が止まり、いい音と口にする。英語圏に見られる姓とwikiにある。


あの揺れは、岩手・宮城内陸地震だった。事件、事故、災害が頻発に何事かの行事のスケジュールかに重なり、ニュースを追う目にさえ疲労感が漂うようだ。
こうした出来事が累積されて人心に飲み下せぬ異物のように何処かに溜まり、ある種の感覚が鈍くなる、あるいは疾患を帯びる気がする。これが全体へ知らぬうちに染み渡る影響を考えると、最近繰り返している「当惑」の現実感が増強され、途方に暮れながら発作的な衝動を身体に許す隙が、大きく口を開ける。
加えて喧噪というのは、未成熟な足掻きであるなと、最近、都市の表面を取り替える風貌の若々しさが苦々しい。