Monet Limonite Field 2019
charcoal,water color on MBM
910mm x 560mm

 褐色に穢れた風のせせらぎが幾筋も流れる水芭蕉遊歩道を歩きながら、ゲストにこの辺りは褐鉄鉱の鉱床があり、光景とは裏腹に浄化されていると説明していた。あの黄土色が特異な地勢のもたらす色彩だと、客が帰った静寂の中幾度も省みていた。炭の粒子が定着しやすい構造の紙に、調和的な木炭で線をひくことをおこなって、その線が加われば加わる程、木炭は紙と「親和性」を取り持つ風情を醸す馴染みの展開の、その「親和性」の濃度が、私には「土壷」のような罠とみえた。寝床の枕のように紙片を重ねる物理でイルージョンを絶ち、ささやかな色を置くことで、ドメスティックな素描の親和性は解かれて、それぞれの事象位置に立ち戻るようだ。

Monet limonite filed 2019 / charcoal,piece of paper,water color,honeybee crayon on MBM / 910mm x 560mm

 謂わばそれぞれの斥力が独自に見えるまま、その効力を維持して進行させるという綱渡りの向こう側に、何が顕われるか皆目見当がつかない。どうやらこうした「初心者」の状況が私には好ましい。
 快晴の陽光の下、光を浴びてみようと洗濯物を干し草木に水をやる温室テラスへイーゼルを運んで、みつばちクレヨンを穿つように置くと、その成分に惹かれたか小さな羽虫が画面を這っている。