L’ORCHESTRA DI PIAZZA VITTORIO(2007) / jp / it / Agostino Ferrente / DVD

丁度雪が一面に降り、学校が終わったハルボウが、ひとりで新幹線で長野に来たので迎えに行く。宿題のノートを探すついでに娘と観ようかなと手にしたDVDを、皆が寝静まってから髭と頭を剃り上げ、雪のせいかいつになく静まり返った深夜に観る。なぜかどこか懐かしく、唐突で、ときめいた。狼狽え自体が腑にどすんと染みてくる。実践する倫理に教えられるというより救われるということはあるものだ。最後は思わず声を出して気持よく笑っていた。オケが来日したら行こ。というよりまずCDか。

L’Orchestra Di Piazza Vittorio [Import] [from UK]
Suite Ninderli [Import] [from US]


朝方、あまりに冷え込んだせいか、娘がこちらの布団に潜り込んで、一度は寝床を変えたが、気づくとふたたび首筋に触れる健やかな寝息が聞こえた。息が白いよと寝入る前に娘は驚いていた。
昼飯の後、夕食には皆が集まると知り、なんとなく思いついて、広島風お好み焼きパーティーにしようと、食材を求めて夕方街を車で彷徨った。
妹家族が合流し、都合8名の食事を任せろと云ったはいいが、卓上に広がったお好み焼きをひっくり返す方法まで考えが巡らず、その場しのぎの勢いで鉄板ごとヒックリ返して、拍手をいただく。
久保田を熱燗で呑むと旨いねと、ギネスビールの後で、義弟と一升瓶を空にして、年間のべ1万を超える臨床の対峙を聞きながら、新宿の父。占い師になれるよと茶化したが、話の中でその数が凄みを増した。別の瓶の栓を空けていた。
年の瀬の家族の食事を、生ブルーベリーで舌をゾンビのような色となって笑う明るい娘らに助けられて過ごし、息災をそれぞれが呑み込んで腹に行き渡らせたと思うと、片付けの灯りの下の母親の表情の老いをみつけて、むしろこちらが狼狽し、早く寝てくれと云うつもりが、娘に、おばあちゃんと一緒に風呂に入るかという言葉に変わっていた。
また皆が寝静まった深夜も2時過ぎになって、ようやく湯槽に頭を沈めると、何時、何が起きるかわからないいいようのない不安が膨れ、酔いも醒め、身体から湯気をたてて、暗闇をそっと歩き、戸締まり等、慣れない仕草の自分に、はっとしていた。