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 除雪車が路脇に伸ばした樹幹を乱暴な刃で削って痛々しいのでいっそ切り倒して採集し、新しい展開に加えようと早朝から作業をする。それほど太くもない大したことのない広葉樹だと思ったが、切り倒して横たえれば思った以上の枝振りだった。秋には幹そのものからはじめていたので、冬の取りかかりは枝先の繊細を丁寧に救い上げる手付きで続けていた。ひとつの枝という注視の縁で、唐突な幹からの分枝の立体を抱える契機があり、それを引き受けた剪定を行うと、忽ち端材では対応できない伽藍のような構造が浮ぶのだった。

 頭の中に閉塞充満するイメージを速度で撹拌しようと車を走らせ、晴れ上がって立体的に浮かびあがる山々の起伏の安定的な艶やかさを暫く眺めてから戻り作業を続ける。夕刻に記憶とは当事者にとってのタイムトラベルだと頷きつつ風呂の中で本を捲る。

 中野市のコシナへレンズをピント調整および修理の為郵送する。二週間程かかる。

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