入り口の手摺に置いたままだったナナカマドの鉢を室内へ移動し荒ぶれた枝を凧糸で縛る。
人間は環境を倣うしかない。家族の言葉を模倣し聴こえる音を繰り返す。なかなか境界の外へとその倣いを拡張する機会を関心を持って得る事は、日々の営みの中ではむつかしい。馴染んでいく環境には実は本来的に他者性がまずあり倣うことのできない理解を超えた存在ばかりなのだが、浅薄な判断で腑に落としてしまっているようだ。
蒙昧な迷いのようなものはこんな状況からふつふつと湧いてくるけれども、これまで何度もそうしてきたように静止へ沈着する目付きをまたそっと取り戻して、音の絶えた目の辿りをはじめればよい。