機器の運搬とカメラ助手をGarioにお願いし連れ立って連休で混み合った新幹線に揺られ、軽井沢下車。迎えに来てくれたJin Nakamuraの制作アトリエを訪れ、取材をする。取材といっても個人的な興味から、不埒に成熟する「大人」の制作者の表情の一層の幕の下に必ず顕われていた、十三、四の頃から変わらない「個体」の人間性のようなことを、カメラで残しておきたいと思っただけのことで、屈託ない会話で互いのこれまでとこれからを確認するような時間となったようだ。使い込まれた制作室で、お茶を頂きながら、
「最近は若い頃に比べてピュアになった」
間違えて受け止めると恥ずかしいような率直なその言葉の、出自を自己確認するように、自身で制作した作品の説明を丁寧にしてもらい、紆余曲折を経ながらも、一言でいえば彼の「余白を埋める」執念のような制作衝動が、本人を支えていたのだと理解した。中学の頃にお会いしたままご無沙汰してた母上様もご健在で、こちらの母親と同様な大病を患ったようだが、乗り越えたと聞き、互いの家族の息災にほっとする。
続けて、Jin企画の詳細のミーティングを行ってから、別室のギャラリーにて、数年の制作を眺め、自身で保温工事の外壁工事したという陶芸工房を覗く。
しなの鉄道に揺られて行こうかと、御代田駅まで送ってもらうが、一足遅く、1時間に1本の下りが目の前で出発してしまい、佐久から新幹線に乗った。いずれのんびりと揺られよう。
眠らずに、迷走する思念を言葉や形によって置き換える時間を過ごしている時間が長いせいか、最近自覚的に会話に空白が生じる。