雨が降りつづき月曜と日が変わった数時間は闇の中霧が鬱積したようだ。庭先の広葉樹もすっかり新緑を茂らせ隙間からみえていた向こう側を遠ざけるようになった。こうした時節の植物の旺盛が外に向かって寛容さも広げるから水の含みがたらふく柔らかく膨れ気象気圧のストレスの緩和も手伝ったか自らを解放するように羞恥を棄てさらけ出しているのが十代の性を思わせる。地から放たれたようだった草茎も風呂上がりの女の塗れた髪のように細長い葉を痩せた躯から地へ流し埋もれたみどり色の髪の頭が幾つも埋まっているように見えるが、それはどこか鮮やかで濡れた葉にとどまる完結した小さな水滴が光を反射させると一層さわやかな種族の健やかな眠りの姿にも感じられる。
休日はカウチでの二度寝の最中モリヤファミリーが寒いねと遊びにきたのでお茶を飲み、ニノちゃんが噛んだのと足首の跡をみせてくれたミオンちゃんから帰り際に女なの男なのと腰が抜けるナイスな質問をされ思わず赤ちゃんを産もうかなと返事をしていた。夕方迄幾度か憶いだしては吹き出していた。
月命日だから家族で夕食をと誘われ市街へ下り線香をあげ車だから酒は呑まず寿司やらをいただく。キッチンのリニューアルに忙しい母親に意見する妹がこれみてと指差すので義弟とふたりで洗面所の窓をみると手を広げて窓を開けようと触れた跡が犯行現場のようにくっきりと残されている。なぜか父親のものかと頓珍漢が浮かんだ。素人風情の空き巣のものだろうと三人で腕を組み鍵をかけるよう母親に諭して9時前には袋に入れた食材を積み大池を回るルートで戻る途中、霧の層をくぐり抜け雨もまだ残るワイパーの先を一日の光景が重なりパーカーを頭に被っていたせいか気圧のせいかオーディオの音も籠ったように感じられ肩のあたりだけに寒さがあった。音の失せた夜半の静まりの森に戻りしばらく何も聴こえないのが不自然であるような気がして闇の中立ち止まると肩の寒さが両腕に下がっていった。ナカジマくんからいただいたBOSEスピーカー1セットはFLAT FILEに置いたが残りの1セットをモロコシオーディオに繋げ音場拡張するとリビング全体に音響が渡るようになったので、遅くまで繊細なものを選んで聴くと素晴らしい。
びわくんがCDを買ってくれたので、もうちとがんばって量産しようかな。と。
蜩は朝7時に鳴き始める。
7fingers / Nils Frahm CD
Wintermusik / Nils Frahm CD
Foreign Landscapes / Hauschka CD
Salon Des Amateurs / Hauschka CD
Prepared Piano / Hauschka CD