ハルボウと歩いて入り口まで来ていたが草履だったので侵入を諦めていた7haの湿原をようやく歩く。
尾瀬の8000年などと比較しても格段に古い10万年の蓄積が14メートルの深さで放下された言い得て妙な名を持つ「さかやち」という湿原は、別荘地保養林の走るコースから下って少し歩く距離にあり、おそらく樹々を倒せばこの机の向こうの南側の窓からも眺められる筈で、そのあまりの近さ故数ヶ月辿ることをしていなかった。京急カントリークラブ開発の調査時に詳細が明らかになり2003年に長野市の自然環境保全地域に指定されたと書かれた看板が入り口にある。野鳥が群れミズゴケが群生する泥炭層の湿原は、いわば途方もない時間を目の前に突き出されたようなタイムカプセルであり、これまた近くの環境保全研究所 飯綱庁舎という県の施設で詳しく継続調査説明されている。地元でも知らない人が多いので訪れる人も少ないらしいが足跡はあった。然程広くはないがなにかこちらの庭のような感触がとてもよろしい。黒曜石が吹き出す林道をバイクで駆け上がった此所よりも標高のある高地に広がった霧ヶ峰八島ヶ原湿原にはその眼下のダムに勤めていた友人の黒沢氏宅へ遊びに行く度に歩いていたなと憶いだす。
冬期は見送っていた道を走って自称墓守が見張る5kmほどで墓の前に立つことができる霊園に上らず左折して山間の谷縁を誰がはじめたか素晴らしく直線に近い最短のうねりで市街へ繋げる道を行くと、これまでのルートより5kmは短縮されたあまりの近さに魂消る。途中台ヶ窪という村落があってそれなりに高台の手のひらの窪みのような場所に密集する家々もみえる道は舗装されているが今年のような積雪の冬は走れたとしても肝を冷やしながらだろう予感もあって地図では指で辿ったものの大池の迂回ルートしか使わなかった。次の冬迄このサスケ道を走ることにする。
中嶋くんの3THREEへお邪魔して使わないからとBOSEのスピーカー2セットをいただき感謝。ブランチング入稿先から版下のミス箇所の指摘電話があり完成が一日ずれたがなんとか間に合うと確認。東北の被災地を巡って戻ったゲンタとオサメと4人でしれっとミーティング後9日のオープニング記念のゲンタ写真個展の詳細をやや詰めて買い物をして戻り、オサメと7月の鬱展のミーティングをしながら剣菱を呑み寝る。