風呂の中で背を伸ばし捲っていた本を置いて窓を開け冷たいが気持ちのよい風と湯気を遊ばせ樹々の隙間で唸る風の音に耳をすました。
野菜ばかり摂っていたので池の傍の店で冷凍の烏賊を買ってきてレンジで温め昨夜は遅くなってウイスキーをなめた。四月に入って嵐の日もあり毎朝雪が舞い気温は一ヶ月前と変わらないがやはり雲間からさす日差しは時節を示す力があるように感じられる。
考える事のできることはすべて考えてしまおうと意気込んで取り組んでいる開発はこれまでの蓄積がものをいうけれども、十年二十年という時間の耐久性を加えるところにきて少々凹む。
月曜日から金曜日までほとんど白い空間の無音環境で探索を続けたせいで何気ない週末のラジオが乾いた喉の形を内側から露にするように内耳から脳に染み渡って瑞々しい。明日はしっかりと外を歩くことにした。