1992年だったか、studioにて皆で遊ぶかと気楽に買ったギターが放置してあったと、最近こちらの身振りに同調し、Ovationをおもちゃのように扱う娘たちを見かねて、お前はこれを使いなさいと、実家から郵送して貰う。絵の具やらなにやらわからぬモノで汚れ、あるいは傷ついて古びていたが、しっかりとした作りのこの楽器はまだ使える。弦はどうしようもなく腐食していたので取り外し、汚れを丁寧に落とす。最初はペグを付け替えねば駄目かと、新しいパーツを注文するつもりでいたが、取り外し磨いて装着し直すと、それなりの艶が出て、機能も恢復したようにみうけられた。こうしたことでモノは、人間のほうに寄り添い戻ってくるので面白い。
指の先が固くなったよと、いくらか自慢げに皮膚を見せる長女の、アルペジオやスリーフィンガーの覚えの早さに舌を巻き、娘と同じ頃の自分を憶いだして、年齢によって習得のスピードは萎えるなと自虐を笑って(若干自身が腹立たしいのだが)、マーチンのエキストラライトゲージのセットをネットで注文する。
ラガマフィン/マイケル・ヘッジス(1984:2ndアルバム エアリアル.バンダリースに収録)の楽譜も届き、DADGADチューニングの難解な奏法に頭を抱える。が、家族には年内には弾くことができるさとでかい口を叩いてしまった。
わたしにとってGuitarは、歌う為の道具だった時期があり、その頃は唄うことが先行したものだったが、最近はただ弦楽器の音を構築することにだけ意識が奪われる。
 まあ、呑気にやろう。


まだFの押さえがままならない長女の為に注文したエキストラライトゲージ弦をつけると、ギターネックの反りが半端ではない。これでは弾くことができない。慎重に六角でネックの反りを直す。すると、タッチが非常に柔らかく変貌。ギター構造と感触に納得。なるほどね〜。4万ほどのギターでも、メンテナンスで向上できる。がんばって練習しなさい。これからあたしのは使うなよ。上手になるまでは。