040909.jpg

夜の街の花びらが光って散り広がる路面を歩く帰り道、まるで鱗のようだな。寿司を握る人の足元を浮かべるようにしていた。ビールと熱燗で酔いが回り地下鉄では乗り過ごすところだった。何度も手元の下げ袋と、肩のカメラを、忘れてきていないかと顎を動かして指で確かめた。

天気が良いので、国立大学法人東京大学大学院理学系研究科附属植物園入り口でgentaと正午に待ち合わせて、「あの世」のような風情の満開のサクラの乱れ咲く園内にレンズを向けながら歩いた。何度かロケハンにと考えていたが、その度に都合がつかず今回初めてこの場所を散策する。三田線の白山で降り、徒歩10分ほどで入り口に着く。外来種などを陳列するように並列させて植えてあるのは、なるほど博物指向の植物園であり、原生の林などと違って不自然ではあるが、明治から100年以上の時間の経過が、樹木に成長の貫禄を与えており、太い幹の並ぶ景色は、欧州の公園を憶い出させた。Botanischer Garten und Botanisches Museum Berlin-Dahlemを縮小模倣したのだろうか、良く似たガラス張りの温室は、通りがかった人から、老朽化によるガラス窓落下などの危険があるため、現在入室できないと教えていただいた。

ひと回りしてから、西縁に隣接されている東京大学総合研究博物館 小石川分館(旧東京医学校)へ入館し、100年前の博物指向が顕著な、現代では奇妙にも感じる静かな人気の無い館内を巡る。明治9年(1876)に建築されたこの建物は、旧東京医学校の本館で、東京大学に関係する建造物では現存する最古のものとのこと。国の重要文化財に指定されている。1969年に本郷構内より移された。現在は、東京大学総合研究博物館の小石川分館として、一般公開されている。

春日まで歩き、シビックホールの展望レストランでランチを摂り、午後は会議。夜になり庄屋でgentaと軽く呑む。週末から能登輪島に連泊で旅に行くというgentaと別れて、勝どきのオフィスまで戻り、そのまま朝迄カウチに倒れるように眠っていた。

yazaki氏より、歓喜の歌(2008) / 松岡錠司(1961~)DVDを借りる。


「我々の目的」という言葉の乱発が、数時間に及ぶ話の流れのうちに、「私の無目的」という倫理矛盾を露呈する合理的な道理を唱えるシニックな若者と、一向に先の見える気配の無い自称リベラルな管理職の間にいて、やはりここでまた、組織の中で個が確立していないこの国の共同体の脆弱を知る。ボトムアップとは奇跡的な効果機能を演繹的にもたらす、所謂博打で可能とは、いやはや驚いた。

腰を据えたプランニングの為予定よりちょっと早めに、静かな場所にて隠遁するか。とスケジュールを立てる。

A Walk to Remember(2002) / Adam Shankman(1964~)