群像2002年6月から今年の1月までの一年半にわたる連載(内2003年は4回休載)が5月28日に新刊ででたことを今日まで知らなかった。京都奈良への修学旅行の振り替え休みの長女を昼飯に外へ誘ったついでに立ち寄った書店で、古井由吉「野川」2200円を購入。幾度か群像でこの作品の連載は知っており、落ち着いて読むことのできるハードカバーを待っていたので、美しい装丁の背をみつけた時は「あった」と小躍りした。5月から雨の降る日等全集からはじめて、「半日寂莫」「陽気な夜回り」と続け、途中に平出隆「猫の客」、柄谷行人「探求」などをはさみ、停滞を切断する糸口をみつけるという口実で、実は楽しんでいたが、新刊「野川」は、しんしんと降り積もるような呟きが意識の隙間に広がるようなリズムを持った。
長女は、綿谷りさの「蹴りたい背中」1000円が読みたいというので、それよりもこれはどうだ。このほうが面白いと薦めたつもりの、「The Future is wild 〜驚異の進化を遂げた2億年後の生命世界〜Dougal Dixon & John Adams」2400円と、結局共に購入。鼻行類の数段上をいく想像力を、娘らと楽しむことにした。
映像の力と言葉の力は、カラダの全く別の能力、部分でで受け止めるのだとつくづく思う。欧米のウエブなどでよく目にする、テキストのみのコンテンツを狡猾にCSS構築されたデータベースなどが、アニメーションコンテンツなどよりも結局支持されている理由は、この言葉の力に他ならない。そういえば、今朝眠りにつく際は、オライリーのCSSマニュアルに頭を乗せて寝入っていた。