1970年代の放課後、天井の高い美術室で、絵なんて描かずに、皆が競ってギターのコピーをしていたNeil Youngの、Greendaleという新譜がでた。ファンであるJim Jarmuschの「Year Of The Horse」撮影が、(「Dead Man」の音楽をニール・ヤングが担当している。)彼に影響したのだろうと簡単に考えた。サイトをみると、このアルバムは物語に沿って構想され、登場人物の街の地図や家系図がある。楽曲はシンプルでタイト。CDのほうは、ギター、ベース、ドラムスが基本。DVDのアイルランド、ダブリンでのライブは、ギター1本弾き語り。物語はGreendaleという架空の街に住む家族を中心に描かれている。そのうち彼が監督する映画を観る事ができるかもしれない。こうした明快な試みをする人間が、この国に是非現れてほしいものだ。Buffalo Springfieldの一員であったとか、alternative Rockの祖だということよりも、このプロジェクトのBasic Conceptの持つ得体の知れない広がりが、私は新しく感じる。
GREENDALEに付属しているDVDが素晴らしい。amazonで輸入版のDVDがお安く求められるので、それだけでも十分見応えがある。以前アリサカからamazonは次の日に来るよと聞いたことがあり、今回試してみると本当にそうだった。DVDで観るニール・ヤングのブルースハープがいい。ワイヤレスのマイクが2個(多分ステレオ出力用)装着されていて、あれ欲しいなどと思った。ライブのMCのほとんどは、GREENDALEの描写で、それが架空の街の家族をあれこれであり、静かな語り口の描写が終わると、物語の主人公らの楽曲となるわけだ。こんな曲折のある親爺が、ギターを弾きながら、戦争の描写などしたら凄いだろうなと妄想した。
「あの時はな、仕方がないとみんなが云うけれどな、オレはそんな事思ってなかった・・・・ジャーン」ととかいって。静かにリアルに・・・。老年の美しさは恐らく、過去を正確に記憶していることにプライドを抱くことかもしれない。
ニール・ヤングのピックを使わない、指と爪の柔らかいピッキングが音に反映して耳が心地いいのだった。声、楽曲、観客、舞台、等もろもろの環境が、厭味なく人間性の表象となって、ひとつの思想を明快に示している。
DVDでわかるアナログな音響装置が素晴らしい。