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 George Raymond Richard Martin (1948~)の「A Song of Ice and Fire」(氷と炎の歌)を原作とし、David Benioff (1970~)が製作者となった、「Game of Thrones」ファンタジー(寓話)の現実感の投入を観て、なるほどと感心する。寓話設定をこちら側へ引き寄せる色合い、質感を、キャラクターの構造に繁茂させる。跳躍的な奇想天外を外へ置いて、寓話進捗の偶発性を神秘化させない。出来事への心情情動をこちら側で受け取りながら、得心を寓話世界へ戻す仕組みを維持する。脚本(会話が主なものとなる)に、説明を排除し設定強化を含める。などなど、長大に進行する寓話の起伏に強弱を与えつつ、製作者らの知恵を注ぎ続けるというフォーマットの、成熟する過程がそのまま投影されている。

 対象を具体的な共有世界としない創造行為において、対象放棄をした、言わば自惚れた自己投入型の構想が陥る脆弱は、一度対象世界の具体詳細へ詰め寄る態度によって刷新されることが、こうした現代的な寓話構築の手法によって逆説的に示されているように思える。