音読などしないが声は聴こえる。という読みをする夜遠くから狩猟の銃声が鳴る。

ここ数日で面白いように稲穂の色が変わるので同じ場所で車を止めてカメラを向けた。
母親の検査の結果は良性のポリープがあるものの心配するものでないとのこと。来年再度同じ検査を医師と約束させられたと母親は安堵の声をこぼした。
ガンバルぞと跳ねるような声は次女のものだったが、聴こえる声は言葉の区切りで暫し停止してその人なりの蓄えた間合いで淀み微かな震えも残しこちらは話すより聴くばかりだが、紙を捲って聴こえてくる声は何か不思議な誰のものでもないような震え方を、「、」「。」の、おそらくこちらの都合の呼吸のようなものを連れてするものだから、そういえばラジオも聴いていないなとこのところ音の絶えてきたような初秋の夜窓の外に立ってみる。