片付けに追われベッドにもぐったのは午前2時を過ぎていた。マッカーシーの続きは3pほどだったか。枕元の灯りを点けたまま8時間も熟睡していた。ベッドから降ろした素足が床にひんやりと冷たく片手で覗くようにカーテンを九の字に分けて窓の外を見ると霧にむせた雨が降っている。インスタントの珈琲を左手で持ったまま移動して飲みつつ右手で洗濯機に洗いものを放り投げ暖房をつけるのをやめ風呂を沸かす。

昼前に洗濯物を干してから簡単な掃除をしていると、ふたつの宅配業者が同時刻にサイドテーブルと最後の書棚を運び込み、組み立てなければいけない書棚の箱はそのまま入り口に放置し、サイドテーブルを設置してiPodとヘッドフォンで限界までボリュームを絞り上げつつ、二杯目の珈琲を少し啜って減らしたつもりだが、きっぱりやめるつもりにはなれない本日一本目の煙草を三度ほど肺に流し入れ、まだ長いままを指先で潰すように火を消してうとうとした。音響で頭の軸は熱いようだったがパジャマのままの躯が冷えてきたので、沸かしたことを忘れていたすこし温度の下がってしまった湯槽に入り、風呂の窓を開け別のマッカーシーを捲った。

すっかり午後になって昼時ではなくなったがシンクの前で野菜を刻み鍋に放り入れカレーをこしらえ米を炊く。風呂の中ではっとカッターで切り裂くことに思い至ったテストをしてから昼飯をさらっと食べ、カウチでまだ捲り終えていなかったクーリエを読んでいたらいつの間にか夕方までまた眠っていた。毛布をかけて眠っていたけれども部屋も外も真っ暗になっていた。なんだか実に久しぶりの休みの日だなと脈絡無く学生の頃の独りの時間を憶いだす。二本目の煙草を吸ってから窓を開け夜気を部屋に流し入れながら書棚の組み立てを始める。三段式に積み上げるハイタイプの書棚で、同じものを既にふたつ組み立てているが、一度順序を間違えてやり直したことがあるので、組み立てマニュアルに目を近寄せた。

出来上がった書棚に積み重ねていたものを並べてから眺めて、雨だからと走るのをやめたな。雨でも走るぞとそこまで至っていないななどと浅く転がす。昼間の残り物を少々遅い夕食として摂り、キッチンのテーブルでさかぎし氏の個展のメールを確認。5日の仕事帰りに観に行くことにする。夜十時を過ぎて業務準備のメールなどを送信。